次は映画「ラストエンペラー」で広く知られることになった清朝最後の皇帝、愛親覚羅浦儀(あいしんかくらふぎ)の命である。1906年2月7日生まれで、生年月日および出生時間は徐築吾氏の著書「命理一得」による。

日干は壬水であり、月干に印の庚金があるが、年干の丙火に剋されており、食傷が旺じるので、旺は逆転して金旺となる。
旺の逆転により日干壬水は相令となり、日の蔵干に財はあるが、時干に壬水の扶けがあるので日干は強と見ることになる。
日干は強であるので、もし月干の印の庚金が財の丙火に剋されていなかったなら、日干はさらに強められることになる。つまり、年干の財の丙火は間接的に日干に良好な作用をおよぼしていることになる。
このことは、生家が経済的に豊かであったことを示していることになる。
現実の事象は皇帝の血筋を引き、莫大な財産があったのである。さらには、日の蔵干にも財の丙火があり、親の遺業・遺産を引き継ぐことが示されている。
既存の四柱推命では、剋は好くなく、生は好いとして、生剋の作用の評価をパターン化しているものを多くみかけるが、まったくの誤りである。剋して好い場合 剋 て好くない場合がある。
それは日干の強弱がわからなければ判別することはできないのである。右の実例だけでなく、既出のダリ、手塚治虫の実例をもう一度ご覧になっていただきたい。年干と月干の剋は、日干の強弱との関わりの中で重要な意味があるのである。
なお時干の陽干の壬水は兄弟姉妹の存在を暗示しているが、 事実、いろいろと縁が厚かった弟、愛親覚羅浦傑(ふけつ)がいる。しかしながら、この命からは、財産家の御曹司であろうということは知り得ても、皇帝であるなどとは断定することはできない。
「四柱推命学入門」小山内彰 (希林館)より
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