さて以下、病気の見方を説明することにする。まず、四柱八字を見て、その人の身体的に弱い部位を知っておく必要がある。その見方の基本となる考え方は、
◇命の調和を乱す原因になっている五行はいずれか。
を見極めることである。つまり、日干が強であるなら、日干を強にしている原因となる五行、日干弱であるなら、日干を弱にしている原因となる五行がいずれであるかを見ることである。ほとんどは四柱八字中にあって最強の五行がその原因になり、その五行の部位が弱いことになり、同時にその五行から剋される五行の部位にも問題があることになるのである。
例えば、金が最強であるなら、まず金の部位が弱く、次に木の部位に問題があると考えられる。また、天干にあるとその影響は大きく、天干に二つ、三つ同じ陽干があるなら、その五行の強弱に関わらず、その五行の部位と剋される五行の部位に問題があるであろうと推察することになる。
また、剋だけでなく、生じる五行の部位に疾患が発生することがある。四柱八字中にある強い五行を生じ助けるとか、弱い五行から洩らすことになって、さらにその五行を弱めてしまう場合、その五行の部位に疾患が発生しやすいことになる。
健康面にはほとんど問題がないのに、よく事故を起こし、身体的に損傷を受けることが多い人を時々見かけることがある。病気をしないということは、印が適切ということであり、事故を起こすのは、食傷のあり方に問題があるのではあるが、 そのような人の四柱八字を見ると、印が旺じている、 比劫が旺じている、 ある いは日干に印か比劫が隣接しているといった共通性があるのである。
この視点をさらに深く考察するなら、望ましくない事象が、病気とし て発現するか、事故として発現するかを分別する視点につながることになる。つまり、
① 日干の強弱にかかわらず、印か比劫が旺じている場合は、病気ではなく事故として事象が発現する。
② 日干に印か比劫が隣接している場合は、病気ではなく事故として事象が発現する。と言えるのである。
また、やや概略的な表現になるが、右の二つに該当する場合、
③ 好ましくない事象は、事故を含め、対人的、あるいは対社会的問題として発生することになる。
と言えることになる。対人・対社会的問題には当然経済的な問題も含まれることになる。つまり、生きていく中に発生する問題を、身体的問題である病気と、対人・対社会的問題に分けるなら、右の3点に該当する四柱八字の場合は、病気で苦労することはないが、社会生活において苦労が発生することになるのである。では次に、広義な意味における事故に注意が必要である四柱八字の見方を説明することにする。それは食傷のありように左右されることになる。概略的に一文で表現するなら、
◇食傷が必要であるのに食偽の作用が不及するとか、食傷は不要なのに、食傷が太過する。と言える。
例えば、日干が強であって、その強さを食傷に洩らすことによって良好を得ている場合、その食傷が流年の干支によって剋される場合、その年は事故に注意を要することになる。日干が弱である場合は、食傷が強められるような流年が巡るなら、同様に事故に注意を要することになる。このいずれも、食侮が好ましくない作用を発生するため、注意力が散漫になったり、早急になりすぎたりすることが、事故を起こす原因になっているのではないかと推察することができる。
四柱推命により病気を予知したなら、食生活の管理、健康診断の受診、等々いろいろと予防策を講じることが可能となるが、事故は、その恐れがあるとわかっていても、完全にその危険性を排除することは難しい面があると言える。
また話は変わるが、妊娠は身体の内部的な異常に起因しない事象であることから、妊娠・出産の時期の見方は、ちょっと奇妙に思われるかも知れないが、事故の見方と同様に食傷のあり方を見ることになる。もちろん妊娠可能な年齢であり、そうした環境にあるかどうかを考慮した上の話ではある。古来より女性の場合、食傷は子女であるとされてきたことは、まったく根拠がない話ではないのである。
「四柱推命学入門」小山内彰 (希林館)より
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