性格を知ることによって、人間像をイメージできるように、性格自体、あるいは性格に結びつく行動パターンの見方を次に掲げ、説明していくことにする。

●性格的な強さの見方

競争社会を生き抜いていくには、人より能力的に優れた点があるに越したことはないし、強い性格であれば有利であることも多い。しかし、強いからよい、弱いのはよくない、という単純な図式は成立しない。性格が強いために敵を作り、不幸を招いたり、性格が温厚であるため、大きなトラブルに巻き込まれることなく平穏であることもあるので、よしあしの評価には関わることはない。
性格が強いか弱いかを気質から判別する方法は、「十干體(たい)象詩」「滴天髄」その他に述べられている十干の性状がそのまま反映することになる。例えば、陽干の丙火の場合、「丙火太陽之象」「丙火猛烈」と力強い表現で言われ、陰干の丁火の場合は、「丁火柔中」「丁火陰柔」と弱弱しい表現がとられている。これらがそのまま性格の強さ、弱さに反映することになるのである。つまり原則的には、「陽干が多ければ強く、陰干が多ければ温厚な性格になる」ということになる。天干に陽干があるほうが作用が大きく、当然、四柱八字の視点の中心である日干の陰陽に依存する部分が大きいことになる。
そして、性格の強さと弱さは四柱八字中の五行の配合によって質的に変化することになる。

木は、情緒的な面を強くする作用があるので、木が強い命の人は、理屈ではなく感情的な面でものごとを判断することになる。

火は、秩序を重んじる、と言われるが、気質に与える影響は、その人の言動の根底に、法則、思想、ルールの存在が認められるということになる。火が強い人は、その人なりの秩序からはみ出すものは断固として受け入れなかったり、あるいはその人なりのルールによって物事を解釈することになる。したがって、臨機応変な配慮に欠け、パターン化に陥る恐れがあることになる。

土が多く強いと、現在の状態を保つ方向に思考が働く。いわゆる頑固となったり、保守的となったりすることになる。

金が多く、強いと、客観的にものごとを判断する傾向が強くなり、その置かれた状況により最適と判断した言動をとることになる。
時に人間的な情とか心が欠如した行動となることもある。そのためサッ パリしているとも言えるし、悪く言えば、いつも冷めているとさえ映る行動
を取ることになる。諸葛亮孔明の故事に「 泣いて馬護(ばしょく)を斬る」という一節があるが、情に流されることなく、決断を下したり、行動をするのは、この金の作用による。目をかけていた部下でさえ、ミスを犯した時に切り捨ててしまうのは、金の作用によるのである。

水は、―つの考えにこだわることがなく物事を発想することができるような、柔軟性に富んだ気質に関わることになる。逆の視点から言うなら、考えを拘束されたり、変化が乏しかったり、物事に固執したりすることを嫌うことになる。

以上が、五行の視点による、性格的な強さ、弱さに与える影響であるが、五行の視点は、あくまで気質を見る視点でしかない。対人的、対社会的に、性格的な強さ、弱さを発揮するかどうかは、通変の視点によらなければならない。
自身の考えを主張し、相手の考えとの違いを明確にしようとするなら、それは性格的な強さの―つの現われと考えられる。
こうした性格になるには、日干が強く、食傷が隣接している必要がある。比劫が強いため負けず嫌いで競争心が強く、食傷があることにより、相手の動向に素早く反応し、自分の考えを相手に伝える能力を発揮すれば、人から強いと評価されることになる。
逆に、自身の考えを表に出さないような控えめな性格は官殺の作用による。日干に官殺が隣接し、日干が弱い場合、人から温厚であるとか、弱い性格であると言われることになりやすい。時に相手に合わせ過ぎ、自己主張が少ないために、何を考えているのかわからない、などと人に思われることにもなるのである。
「四柱推命学入門」小山内彰 (希林館)より
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http://www.shihei.com/shihei/calc/