成長期における生家の環境を左右する最も大きな要因は、言うまでもなく父母の影蓉のあり方となり、これに付随して、家庭の経済的な状況も関わってくることになる。
通変の基本的な事象では、財が父親の影響を示し、印が母親の影響を示すことになることから、生家の環境は、四柱八字中の財と印を見て判断することになる。ただし既述のようにごくまれに印は母親ではなく、同居する祖母とか年の離れた姉の影響を示していることもあるが、いずれにしても、身の回りの面倒を見てくれる人からの影響という点では共通することになる。
まず父親の影響の見方から説明を始めることにする。基本は、日干に隣接する位置に財があるかどうかを見て、その影響の存在を確かめることになる。日干に隣接する位置とは、原則論で言えば、日の蔵干、月干、時干である。この3箇所に財があるなら、父親の影響が密接であったものと言える。ただし、日干と隣接する干の生剋・幇の作用は、日の蔵干が最も密接なのであるが、父母との関係を見る際には天干にあるほうがその事象におよぼす影響は大きいことになる。
もし、この3箇所に財がないとか、あるいは、四柱八字中に一点も財がない場合は、成長期において、父親の影響が希薄であったと見ることになる。実証的には、財がなくても官殺が日干に隣接していることが父親の影響を示すことがあるが、その見方は本書では説明し切れないので、別の機会に譲ることにする。
さて、父親の影響の厚薄は、財が日干に隣接しているか、していないか、というごく単純な視点から見ることになるのであるが、その厚薄が、どのような形で具体的事象となって発現するかは、日干の強弱に成長期の大運を考慮して判断しなければならない。例えば、日干に財が隣接していても、成長期の大連に比劫が巡り、財を剋してしまうなら、父親の影響は大きいとは言えなくなるのである。
そして、日干の強さ、大運の巡りによって、父親の影響は、さまざまな事象の現われ方をすることになる。例えば、日干が弱く、大運も日干に味方しないような場合は、日干に隣接する財は、父親とそりが合わない、父親の存在を煙たいと感じる、といった事象になったり、さらに日干が弱い場合には、父親が暴力をふるうような人であったり、経済力がまったくなかったり、あるいはまれに病気がちであったり、早い時期に亡くなってしまったり、日干と財との力量的な相違が事象の相違として現われることになる。
四柱八字中に財が一点もない四柱八字も多いが、そのような場合のごく一般的な事象は、仕事が忙しいため、父親が子どもと接する時間を取れなかったということになる。
父親が大企業に勤めている場合、財がない四柱八字をかなりの割合で見ることができる。逆に、生家が自営業で、父親がいつも身近にいるような家庭に生まれた場合、財が日干に隣接していることをよく見かけることにもなるのである。
「四柱推命学入門」小山内彰 (希林館)より
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