具体的な事象を推す前に、四柱八字と大運を見て、明らかにしておかなければならないことがある。それは、既述の内容の繰り返しになる部分があるが、次に再確認の意味を含め、まとめておくことにする。
まず何より重要なことは、
① 日干の強弱
である。日千が強いのか弱いのかは、具体的な事象を推すための必須の情報である。そして、日干の強弱をもとにして、
② 大運や流年にどの五行が巡るなら、日干は良好を期し得るか。逆に、どの五行が巡るのが望ましくないのか
を知っておく必要がある。例えば、日干が甲木で弱であるなら、原則的には弱い日干を強めてくれる水と木が巡るのが望ましく、火、土、金が巡るのが望ましくないことになる。これを通変に置き換えて言うなら、印と比劫が望ましく、食傷、財、官殺が望ましくないということになる。この五行と通変の作用のよしあしがわかったなら、次に、
③ 四柱八字にとって、もっとも良好な作用を発揮する干はいずれか。その逆に、もっとも望ましくない干はいずれか。
を明らかにしておくと、事象を見る際に参考になる。例えば、日干甲木が弱であり、弱となる最大の原因が食傷であるなら、その食傷を剋すことができる印が巡るなら良好な作用を期待できることになり、同じ印でも、陰干ではなく陽干の壬水が望ましいことになる。また、四柱八字のあり方にも左右されるが、その壬水を剋す陽干の戊士が巡ることが、たいていの場合もっとも望ましくないことになる。そし て、
④ 望ましい五行が旺じる大運を巡るかどうか
を事象を見る前にあらかじめ知っておくことも必要である。大運の旺じる五行を見ることにより、良好な時期、そうではない時期の変遷の概要を知ることができる。そして、良好な時期がどのような年齢期に巡ってくるのか、また望ましくない時期がどのような年齢期に巡ってくるのかも確認しておく必要がある。
さて、四柱八字、大運、流年により、さまざまな事象を見ることになるのであるが、知り得た事象が少しずつ積み重なることにより、その人に対するイメージが膨らんでいくような効果を生み出すための手順・技術のようなものがある。
次にその手順を説明するが、この方法を採れば、その四柱八字の持ち主が、どのような人物であるのかを浮き上がらせることができ、「この人がこういう状況に身を置いたなら、おそらくこのような行動をとるだろう」といったことを推察する手がかりを得ることができることになる。
この事象を見る際の手順は、決して特殊なものではなく、ごく常識的な範疇に含まれる内容でしかない。まず最初に、四柱八字と大運の作用を見ながら、その人が生まれてから成人するまでの家庭環境、生活環境を見ることから始めるのである。
「四柱推命学入門」小山内彰 (希林館)より
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