木は、身体部位としては、肝臓に深く関連する。具体的部位としては、肝臓のほか、脳に代表される神経系、胆嚢、眼目に関わることになる。以上のように、木と関連する具体的な身体の部位をあげることができるが、五行は臓器そのものではなく、その生理的機能を示していると考えなくてはならない。理由は、物事を個別の存在としてではなく、物と物の関連として認識するのが五行論の本質であるからである。このことは他の四行についても同様なので、まず最初に注意を喚起しておくことにする。 顔型は、観相学で木型と言われている形に該当し、顎が小さめとなり、逆三角形のような顔型となる。木と関わる色は青といわれ、顔色や好みの色に関連を見ることができる。古書によっては、甲木は青とし、乙木はあさぎ色(シアンプルーに近い色)であるとし、干と色との関わりを述べているものがある。しかし、十干それぞれを色と関連づけるのは、実証的には無理があると言える。木は青として理解しておいて十分である。 木は身長の高さに深く関わるとされることが多いが、実証的には、木とともに金もある程度強い必要がある。また、背が高いといっても2メートルを超すような場合は、別の視点から見る必要があり、除外される。ちなみに、背が低いのは土に関わっている。 眼目は当然視力にも関わるが、木単独の事象ではなく、水との関連において判断する必要がある。水と木の力量は、目の大小にも関わることになる。 木に関連する味覚は酸味となる。酸味とは、酢とかレモンを口にしたときに感じる味である。酢の味は酢酸に由来し、レモンの味はおもにクエン酸に由来するが、この視点は食べ物の好みと関連することになる。 そして問題の五常であるが、木には五常の「仁」が配当されている。「仁」の本来の意味は、「自他の隔てをおかず、一切のものに対していつくしみ、情け深く、思いやりの心を持つこと」であるが、四柱推命で具体的事象を見る際には、木の本質的作用は、「情」といった言葉で表現するのが実証的に適当であると言える。それは、人間くささ、感情性ということをも含めての情である。もちろんそれには善悪両面の作用がある。例えば、人を愛したり、憎んだりすること、動物を可愛がったり、虐待したりすること、怒りっぽかったり、涙もろかったりすること、また、ものに熱中したり、嫌になったりすること、といった、いかにも人間くさい部分に関わる。さらには、既成概念にこだわらない、ひらめき、思いつきといったことにも関わることになる。 中国の古書中に、「木盛多仁(木が盛んであるのは仁が多い)」と言われているが、四柱八字中に木が強いことのみでは、情動的とは断定できない。ただし、肝臓病の病症の一つである、短気とか気力のなさといったことと、木との関わりは見ることができる。 「四柱推命学入門」小山内彰 (希林館)より