本章で説明する五行と通変の事象は、四柱推命で具体的な事象を推す際に、もっとも重要な役割を果たす二大要素となる。四柱推命においては、 行と通変に由来しない事象はないと言っても過言ではない。しかし、五行で見なければならない事象と、通変で見なければならない事象の区別があり、それぞれ適用範囲が明確に分かれている。
既存の四柱推命には、五行と通変の両方に適職を見る視点があったり、性格を見る視点があったりするが、こうした方法は本質的な誤りであると言える。なかには十二支だけで適職を結論づけたり、日干だけで性格を断定したり、論議の対象にさえなり得ないような荒っぽいものさえある。
さて、五行と通変の事象を具体的事象へ関連づける方法は、
① 五行の視点から具体的事象を見る。
② 通変の視点から具体的事象を見る。
③ 五行と通変の両方の視点を関連づけて具体的事象を見る。
④ 以上の五行と通変の事象と、後述の定位との関連で具体的事象を見る。
という、概略4通りの過程があり、具体的事象を見る方法は、これらのいずれかとなる。
また、以下に説明するように、五行と通変には多くの事象が配されているが、それらを一つでも多く覚えることが必須かというと、そうではない。丸暗記では応用が利かず、党えている事象を並べ立てるだけになってしまい、かえって弊害を招く恐れがあるくらいである。
具体的事象には千差万別の様相があるので、もっとも適切な具体的事象を結論づけるには、五行および、通変それぞれの作用と関係が意味するところの、本質的な部分を理解し、臨機応変に応用できるようにならなくてはならないのである。
「四柱推命学入門」小山内彰 (希林館)より