流年とは、規則正しく、すべての人に共通して巡ってくる毎年の干支のことである。したがって何年先であっても簡単に知ることができる。例えば、平成17年の流年の干支は乙酉であり、10年後の平成27年は乙未となる。この流年の干支が四柱八字と生剋・幇の関わりをもつことで、四柱八字に変化が生じ、結果として具体的事象を発生することになる。
ほとんどの中国の四柱推命の書で、出生後、毎年巡ってくる年の干支は「流行太歳」と言われており、日本では年連といっているものを多く見かけるが、20世紀初頭に台湾で活躍した徐樂吾氏は、「命理一得』その他の著書中で「流年」といっており、このほうが感覚的になじみやすいので、本書では流年と表記することにする。
また流年は、その中に四季の変遷を含んでいるので、四季の五行の旺の変遷の影響に伴って変化することになる。つまり、甲寅年であれば、春の木旺には、木として最も強力な作用を四柱八字に与えることになり、秋になれば死令の木としてその勢いを失うことになる。季節によって体調の変化があって、毎年春になると調子が悪いとか、冬になると必ず体重が増えるといったことを見聞きすることがあるが、これは流年が四季の巡りを内包していることから起きることと理解できる。
なお、中国の古書中には流月(節月ごとの動向。月運ともいう)とか、流日(日運)といった記述を見ることはできない。流年が基本的に最小単位とされている。流月については、流年とその年の旺相死囚休の変化、そして流月の干支により、その動向を論じる手だてがないことはないので、四柱推命では流月を論じることはできるが、これが限界であると言える。四柱推命で、毎日の運勢などといって日運を論じることは、少なくとも本場の中国では見られない。
「四柱推命学入門」小山内彰 (希林館)より