方は、十二支の象意の―つである地理上の方位が、そのまま四柱推命の体系の奥深くまで入り込んでしまったものと考えられる。寅卯辰の3支を東方、巳午未の3支を南方、申酉戌の3支を西方、亥子丑の3支を北方として、それぞれ木火金水が配されている。そして、「土は中央にあり、四維(辰・未・戌・丑のこと)に散ずる」と理由づけをして、十二支に中央を示す意味がないことの不都合を覆い隠そうとしているのだが、とても納得のいくものではない。
北方を子の方位と呼ぶこと自体には何の問題もないが、地理上の方位を十二支そのものと考えることは誤りなのである。あくまで十二支は時間経過を示すもので、地理上の方位とは無関係である。これは五行の木に木星を配しても、木は木星ではないのと同じことなのである。
既述もしたように、長い歴史の中、五行にありとあらゆる物性が配当されたことの弊害とも言えることなのである。十二支と方位は無関係と考えるべきである。そもそも支には必ず干が伴う。それを無視して支のみを方位に結けるのは奇妙なことなのである。『協紀絣方書』では、この方の考えをさらに拡大解釈して、いろいろな性状を付加しているがまったく無意味なことばかりである。
「四柱推命学入門」小山内彰 (希林館)より
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