干支の連続性と非連続性
干支暦では規則正しく、年、月、日、時それぞれを六十干支が巡っていく。しかし、干支暦は普段使っているカレンダーの日付とか曜日とは、若干その意味するところが異なっている。
毎日、毎刻干支が巡っていくのは、日付とか曜日と同じで、例えば、正子の刻(午後21時)を迎えると、日の干支は次の日の干支へと瞬間的に変化するとされている。中間的な状態の存在は許されていない。これは年月の干支でも同じである。
確かに天干は、カレンダーの日付とか曜日と同様に非連続であるが、支は蔵干を通じて連続的に変化しているのである。つまり、天干は、
甲、乙、丙、丁、戊、己、庚、辛、壬、癸
と巡り、蔵干は、
甲、乙、戊、丙、丁、己、庚、辛、戊、壬、癸、己
の順で巡っている。例えば、寅の蔵干は甲であり、卯の蔵干は甲から始まるので、寅から卯に移行しても、蔵干の甲でつながっているのである。天干も蔵干も一見大した違いがないようではあるが、干と支は必ず干支として一体となって存在することにより、干支の巡りは、連続性と非連続性を同時に内包しているのである。
十二支は、非連続な天干という天の働きを示すものに、蔵干という連続的な地の働きを示すものを関連させるための入れ物であると言うこともできるのである。
こうした連続性と非連続性という視点は、具体的事象を見る際に、忘れてはならない重要な視点になる場合がある。
「四柱推命学入門」小山内彰 (希林館)より