現在から未来を読み取る方法
◇未来予測は可能か
易占いは未来を予測するものですが、いったい未来は予測できるものでしょうか。こんな根本的疑問を抱く人も いることでしょう。
易に限らず、占いの方法はいろいろあります。また、ノストラダムスのように、詩に託して驚くべき精確度で未来を予言した人もいます。
十六世紀のはじめ、1503年にフランスの片田舎に生まれたノストラダムスは、子供のころから優秀で、語学、数学、占星術などに多大な興味を示したといいます。やがて大学を卒業し医師となった彼が、仕事のかたわら予言詩集を書き、発表したのが『諸世紀』です。
この詩集が発表されたのは1550年ですから、いまから四百年以上も前のことです。そんな昔に書かれたものにもかかわらず、現代はおろか、われわれの未来までも予言しているのです。その精確さはほとんど奇跡といってよいものです。マーフィー博士もこれには当の興味を抱いていたらしく、著書で次のように述べています。
「ノストラダムスは十六世紀に集団的潜在意識の扉をたたいて、四行詩の形式で驚くべき予言をしたが、その精確さは多くの人々を驚かせるにじゅうぶんだった。彼はヒトラーの出現を予言している。ムッソリーニについても精確な記述をしている。ロンドンの大火、世界大戦のことも予言している。未来はほんとうは現在のわれわれの心の中あるのだ。ノストラダムスの時代も現代も、事情は変わらない」
博士はここでたいへん重要な指摘をしています。それは「未来は現在のわれわれの心の中にある」ということです。未来は先のことだが、わたしたちは未来を未来として手にいれることはできない。われわれが手に入れるのはいつも現在であって、未来は永遠に未来でしかない。この時間の性質を考えるとき、占いというものの未来予測の実用性ということが、はっきりとわかってくるはずです。それは「未来を予測することは可能だ」ということです。
「マーフィの易い」J.マーフィ(昭和61年、産能大学出版部)