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キーワード:さまよう人

旅、小亨。旅貞吉。

旅は、小しく亨る。旅は貞にして吉。

旅は旅行、旅人の意である。昔の旅行といえば現代のように行楽を目的とするものではなく非常に艱難辛苦の伴うものである。したがって誰もが自国内、あるいは自分の家にとどまっていることを望んでいたことは言うまでもないが、何かの事情で知らない土地に旅行しなければならなくなることも起き得るのである。この卦には、天子・諸候から庶民に至るまで、何かの理由で一時、他国に身を寄せるために旅をするという意が見られ、そして他郷にあれば、不自由な事も多いから、大いに亨ることはむずかしく、そこで自重してしかも小しく亨るというわけなのである。

 

〔大意〕この卦の一般的解釈は旅不安定、また、人との親しみの情も薄い、十分気を付けて、大望を抱くな、というものです。しかし、マーフィ博士はこれを「さまよう人」としました。

ここでいう「さまよう人」とは、自分の信念や確信がなく、毎日を自信なく、また、不本意に生きている人であり、悩みや不安や問題をかかえ、どうしたらいいのか迷っている人たちのことです。

つまり精神的に安定惑を欠いた状態を暗示しているのです。いまあなたにいちばん必要なのは信念です。信念とは心構えであり、自分に対する良い方向を持った未来予測です。過去に関して信念を抱いても仕方がない。過去はすぎ去ったもので、未来にはあまり役に立たない。また、信念をたんに「こうだ」という自分流の解釈と理解してはいけない。信念は確実に未来と閃わっているのです。

別のいい方をすれば、自分の未来に自信のない人は信念のない人である。未来に自信を持つ人は、現在に賭けて生きており、したがって、信念を持っている人たちなのです。あなたがさまよう人であるのは、結局自分の未来像に自信が持てないからなのです。

人生指南の名言を数多く残したことで有名なアメリカの成功理論家デール・カーネギーほ「信念を持たない限り、人は強くも正しくも生きていくことはできない」といいました。まさに至言です。

あなたはさまよう人でいることをいますぐ止めるべきです。そのためにするべきことはたった一つ、「自分には無限の能力をもつ潜在意識が備わっており、それはいつでも自分のために機能する」と確信することです。

 

◎運勢 衰運で何事にも不安定である。下半身が艮止、上半身が離明という見方も大事である。

◎願望 塞がって通じない時とみる。

◎事業 不安定で利が伴わない。じっと耐えて好機の到来を待っことがよい。新規事業、拡張は今はその時ではない。

◎結婚 親しみにくい時で、成・可否ともに悪い占である。色情問題、三角関係などが起こりやすく、場合によっては、訴訟にまで及ぶことが多いから注意を要する。

◎交渉事 難渋するとき。危険な意もあるから控えることが無難である。

◎家出人 探しにくく、戻りにくい。危険に陥ることも覚悟しなければならない占である。

◎待ち人 期待外れになることがほとんどである。

◎病気 心臓の発作や精神病、足腰の激痛、ケガなどに注意を要する。火の移動するように二病併発も考えられ、症状は即治困難で悪化する場合が多い。

 

 

  • 初6:遊び歩くのを止めなさい。

旅瑣瑣。斯其所取災。

そもそも旅にあたっては、こせこせしてはならない。恥のかきすてなどは最もいけない。それで災にかかるのである。

 

  • 二6:知らないこと、わからないことは人に尋ねなさい。

旅即次、懐其資、得童僕貞。

旅次のこと、一晩とまりを宿、二晩とまりを信、三晩以上を次という。十分の旅費を持ち、忠実な従者を連れておれば、間違いはない。

 

  • 三9:怠惰はあなたの習慣になっています。それを改めることが必要です。

旅焚其次、喪其童僕。貞厲。

旅舎から焼け出されたり、旅の間に平常の心得を失って、従者から愛想をつかされ、逃げられたりすることを戒めねばならぬ。

 

  • 四9:危険や冒険はいまは避けなさい。

旅于処、得其資斧。我心不快。

丁度明らに麗いた所であるから、明の有る人に礼遇されて、禄も与えられ、護衛もつけられるに至ったが、旅は旅で、何となく落ち着かず、楽しくない。

 

  • 五6:あなたはどこへいっても歓迎される人間にならなければならない。

射雉、一矢亡。終以誉命。

行旅の間に最も善く認められ、名誉と幸福に恵まれた状態である。爻辞に射雉一矢亡とある。諸説紛々いずれも牽強付会の憾を免れない。要するに古代の占辞であるから、後になっては止むを得ない。離は乾の中爻が陰に変じたものであり、柔を以て行く道である。一矢亡すはこの辺りに該当すると思う。

 

  • 上9:自分の巣を汚したり、燃やしてはならない。

鳥焚其巣。旅人先笑、後号咷。喪牛于易。凶。

上は陰位上六であるべきに九である。旅は柔の道であって、その極にある立場でありながら、ここの陽九は凶と言わねばならぬ。鳥の巣が焼けたようなもので、大騒ぎせねばならぬようなことにもなり、大切な役に立つ牛を領分の境から見失ってしまうというような災いを招く。不徳を慎まねばならぬ。

 

「マーフィの易い」J.マーフィ(昭和61年、産能大学出版部)を参照しています。