キーワード:変革
革。巳日乃孚。元亨利貞。悔亡。
(かくはおわるひにしてすなわちまことす。おおいにとおるていによろし。くいほろぶ。)
「革」は革命、改めること。「巳日」は改めるべき日のこと。「沢火革の時、改めるべき日に改めれば信頼が得られる。大いに通じる。貞 正であればよい。悔いはなくなる」。沢火革の時は万事改まる時ですから、大きな変化、あるいは争いが起こりうる時とみます。会社の中では改革に伴うリスト ラ、新旧交代劇が、また、あなた自身にも転勤や転職の機会が訪れるかもしれません。この卦が出たら、古いものを捨てて新しいものを求める時ですから、従来 の方針も変更したほうが良いでしょう。ただし、改革を行うに際しては、その時機が適切か、その理由が正当であるかをよく考えて踏み切ることです。大胆さと 根気強さがポイントです。
〔大意〕「革は、已日にしてすなわち学とせらる。元いに亨り貞しきに利ろし。悔亡ぶ」この『易経』の意味は「革命や革新は、ときが至ってすれば人々の支持を得るが、その動機は正しくなければならない。それができれば悔いはなくなる」というものです。
いわば革命のすすめですが、これは社会的なことばかりでなく個人の自己変革、大いなる脱皮にもいえることです。要するにいまは変革の時である。だから改めるべきところはすすんで改めよ———といっている。
これは別の見方をすれば、現状に限界があることを示している。現状が満足すべきものであれば何も変革することはないからです。
あたりを見回して自分および自分をめぐる環境で変革すべき問題はないか検討してみるべきです。
古いもの、形骸化したものにこだわっていないか。伝統の名において、習慣の名において、マンネリに陥っていないか。周囲の保守的考えに引きずられていないか。改革しなければいけないと思いつつ、勇気がないのではないか。
いまは良くも悪くも変化の時である。好むと好まざるとにかかわらず現状は変化する。それなら良いほうへ、自分の望むほうへ変化させなくてはいけない。いやそうするべきである。そのためにはまず自己革新をすることだ。
周囲を変えるためには、まず自分が変わらなくてはいけない。それはなかなか勇気のいることですが、いまはそれが望まれている時期である。大きな変革が軌道に乗りやすい時期である。かねてからの大計画がある人、懸案事項をかかえている人、自分の環境の一大改革などはいますぐに着手すべきです。
- 初9:静かにしてじっくりと考えなさい。
鞏用黄牛之革。
(かたむるにこうぎゅうのかわをもちう。)
「黄牛の革で身を固め、革命に備える」。どんなに気持ちがはやっても、改革に着手するには時期尚早です。今は様子を見ることに徹して 動かないことです。
- 二6:仕事も家庭でも人間関係もいまはガラリと変えるべきである。
已日乃革之。征吉。无咎。
(おわるひにしてすなはちこれをあらたむ。ゆけばきち。とがなし。)
「巳日」は改めるべき日のこと。「改めるべき日に至って改める。進めば吉で問題はない」。内々に準備を進めて機が熟せば果敢に行動す ることです。焦りは禁物。
◎良い時です。
- 三9:海で沈まないためには身体の力を抜くべきである。
征凶。貞厲。革言三就。有孚。
(ゆけばきょう。ただしけれどもあやうし。かくげんみたびなる。まことあり。)
「進めば凶。貞正にしていても危うい。革命の議論が三度繰り返される。誠意がある」。周囲の意見をよく聞いて理解を得る時です。独断 はいけません。
◎あなたの考え方、進み方に問題点があります、よく反省し、改めましょう。
- 四9:あなたは新しい友をつくるべぎである。
悔亡。有孚改命。吉。
(くひほろぶ。まことありめいをあらたむ。きち。)
「悔いはなくなった。誠意をもって改める。吉」。改革に取り組む時が訪れました。誠意をもって実行に移せば成功します。
◎良い時です。
- 五9:あなたの計画、願望、待はかなえられる
大人虎変。未占有孚。
(たいじんこへんす。いまだうらなわずしてまことあり。)
「大人が虎のように美しく変わる。占うまでもなく信頼を得る」。ここにきて改革が成就します。絶大な支持と賞賛のもと、すべて一新し て希望の果たせる時です。
◎大変良い時です。
- 上6:あなたは気がつかないところで変わっています。
君子豹変。小人革面。征凶。居貞吉。
(くんしひょうへんす。しょうじんめんをあらたむ。ゆけばきょう。ていにおればきち。)
「君子は豹のように美しく変わる。小人は表面だけ変わったように見せかける。さらに進めば凶。貞正を守れば吉」。これ以上進むことは やめて、改革の仕上げを丁寧に行なう時です。あまり厳しく要求することは控えて、改革が自然に定着するのを待つこと。
◎良い時です。
注 「君子豹変」は一般に心変わり、裏切りの意味にとられていますが、易経の正しい解釈は、君子は誤りがあれば素直にこれを改め、常に自己改革する、とい う大変良い意味です。
「マーフィの易い」J.マーフィ(昭和61年、産能大学出版部)及び以下を参照しています。