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キーワード あご(食を養う)

頤。貞吉。観頤自求口実。

(いはていきち。いをみてみずからこうじつをもとむ。)

「頤」はあご、口のことで養うという意味。「口実」は食べ物のこと。「山雷頤の時、貞正にして吉。養う目的を見定めて食べ物を自ら正 しく求めることだ」。山雷頤の時は、口に関連すること、たとえば不用意な言葉から失敗を招いたり、あるいは、飲んだり食べたりのお付き合いで忙しい時で す。ですから、言語を慎むとともに、自分の生活態度を振り返って、腹八分の正しい生活を心がけ、健康に気を配ることが大切です。生活力のあるなしがポイン トとなりそうです。

 

 

〔大意〕この卦は正しい食物を取り、身を養うことの必要性を暗示しています。ここでいう食物とは「食糧」の意味もありますが、同時に精神的な食事のことも含んでいます。

食物なしで人間は生きられない。これは当然ですが、ともすれば肉体的な食物ばかりに目が行き、精神的食物については忘れがちである。この卦はそれを思い出さしてくれるという意味で、貴重なアドバイスと受けとめることができます。

実力もないのに大言壮語するとか、無計画な冒険的行為は慎まなくてはならない。いまは真の実力を養うべきときであるというのです。一般的解釈としては、外面は良く見えるが、内実は空虚であるから、実力を養わなければ凶となる 実利の薄い時期であるとされています。

しかし、卦としては吉に向かっているので、消極的になる必要はさらさらない。もう一度自分の周囲を見回し、自分の心に問いかけて身を正しくすれば何をやっても成果が得られるでしょう。

また、肉体的コンディションについても留意すべきです。「正しく食を養う」ということは、逆に「食べない」「節制する」ということも意味している。

現代人は飽食のほうがむしろ問題なのですから、この点もしっかりと頭に入れておく必要があります。

さらに上に立つ人の場合は、部下を養う、子を育てるといったこともからんできます。それぞれの立場で、自分を養うとともに他人をも養わなければならない。食事のときは仕事も遊びも一時停止するように、いましばらくは守りの姿勢で行くことがよいようです。カーレースのとき、運転技術もさることながら、燃料の補給やクイヤの交換などの巧拙が勝敗のカギをにぎっているのを思い出してください。

 

  • 初9:人をねたむことはあなたの限界、失敗を招くので要注意。

舎爾靈龜、觀我朶頤。凶。

(なんじのれいきをすてて。われをみておとがいをたる。きょう。)

「靈龜」は万年を経た亀のこと。「朶頤」は下あごを垂らす。すなわちもの欲しげにすること。「我」は上爻のこと。「万年を経た亀のよ うに尊い自分の心を捨て、他のものを見上げて、もの欲しげにするのは凶」。隣の花は美しく見える時。上ばかりを見て、他人ばかりうらや むことはきっぱりやめることです。

◎あなたの考え方、進み方に問題点があります。よく反省し、改めましょう。

 

  • 二6:他人に寄りかかり、物質的援助をあおぐ姿勢をとるな。

顛頤。拂経。于丘頤。征凶。

(さかしまにやしなう。つねにもとる。きゅうにおいてやしなわる。ゆけばきょう。)

「顛」はさかさま。「経」は常。「拂」は背く。「丘」は上爻の陽のこと。「さかさまに養われるのは常道に背く。上の人に養ってもらお うといけば凶」。人に期待したり、人に養われることを望むようでは駄目です。まず自立すること。

◎あなたの考え方、進み方に問題点があります。よく反省し、改めましょう。

 

  • 三6:勇気、信仰、自信、喜びは精神のまたとない栄養物である。

拂頤、貞凶。十年勿用。无攸利。

(やしないにもとる。ただしけれどもきょう。じゅうねんもちうるなかれ。よろしきところなし。)

拂」は背くこと。 山雷頤の道に背く。貞正であっても凶。十年間、事を行ってはならない。良いことはない」。他人のスネをかじっているくせに、やたらと不満の多いあなた、考 え方があべこべです。

◎あなたの考え方、進み方に問題点があります。よく反省し、改めましょう。

 

  • 四6:否定的観念は消化不良をおこす。

顛頤。吉。虎視々眈。其欲々。无咎。

(さかしまにやしなう。きち。こしたんたんよのよくちくちくたればとがなし。)

顛」はさかさま。「眈々」は野心を持って狙うこと。「遂々」はたくましいこと。「さかさまに下の者に養われる。吉。虎が獲物に狙い をつけてじっと見張っているように、求める心がたくましければ問題はない」。今に見ておれと虎視眈々と構える時です。根気よく、油断することなく進めば、 徐々に希望が通じます。

◎良い時です。

 

  • 五6:賢明な人から精神的援助をあおぎなさい。

拂経。居貞吉。不可渉大川。

(つねにもとる。ていにおればきち。たいせんをわたるべからず。)

「経」は常。「拂」は背くこと。「常道に背く。貞正さを守れば吉。大川を渡ってはならない」。力のない時ですから、野心は起こさず に、 上司などに従うことです。

 

  • 上9:あなたが良いと思うものを蓑いなさい。

由頤。厲吉。利渉大川。

(よりてやしなう。あやうけれどもきち。たいせんをわたるによろし。)

「万民が頼ってきて、これを養う。責任が重く危ういけれども吉。大川を渡っても良い」。生活力が旺盛な時、いろいろな人から頼られ、 世話や苦労も多いでしょうが、誠意をもって応えることです。重圧を はねのけて成功に至る ことができます。

◎大変良い時です。

 

 

「マーフィの易い」J.マーフィ(昭和61年、産能大学出版部)及び以下を参照しています。

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