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キーワード 無邪気

无妄、元亨利貞。其匪正正有眚。不利有攸往。

(むもうはおおいにとおるていによろし。それせいにあらざればわざわいあり。ゆくところあるによろしからず。)

「无」は無、「妄」は嘘、「无妄」は嘘がない、すなわち誠ということ。「天雷无妄の時、大いに通じる。貞正であれば良い。正しくない ことや、真実のない行動は災いがあるので、進んで事を行ってはならない」。天雷无妄の時には、天意に従って動くべき時です。ですから、天意に逆ってこざか しいことをしたり姑息な手段を用いたりすると、天はそっぽを向くことでしょう。今はすべて自然の成り行きに任せ、受け身に徹することです。どこまで無心、 無欲になれるかがポイントです。

 

〔大意〕妄(もう)は妄想、妄執、妄言などの妄で、実体のないもの、うそ、いつわり、まやかしなど悪い意味の言葉です。これに対し无(む)は無ですから、无妄とは虚妄なきことをあらわし、むしろ天然自然のままの状態、つまり無邪気さに通じるわけです。

では、無邪気というものをどう解釈したらいいか。まずいえることは、無邪気は悪意や作為がないということです。子供のようにまだ世間を知らないところがある。だから何にも逆らわずに、ごく自然の人問の本性のおもむくままに事を行ない、それが成功する。

つまり何も逆らわずに、自然のままに行動すれば良いということで、そこに大人の打算や作為、我欲などがまじるとせっかくの吉運が逃げてしまう。ただただ天体の運行に身をまかせ、身を正しくしていよということです。

これを別の観点から見れば、作為的な努力はいくらしても無駄、努力と成果は比例しないということでもある。このへんがこの卦の難しいところといえます。実際問題としてはそう無邪気に事を行なうことはできないから、迷い悩むことのほうが多いかも知れないの

です。

しかし潜在意識の力がよく発揮できるのは、どちらかといえばこれは無邪気のほうがいい。自分の内なる力を信じたら、それを子供のように疑うことを知らず、ただひたすら努力をするというタイプが偉大な成果をおさめていることは歴史が証明しています。

大人が無邪気になれないのは予見というものがあるからである。それまでの知識や経験から割り出した予見、これが障害となるのです。予見が良い方向に感じられるときはまだしも悪い方向に感じられたとき、あなたは子供に返って何も考えないことが必要であるかも知れません。

 

  • 9:困難、障害を意識することはそれを望むことである。

无妄往吉。

(むもうゆけばきち)

「天に従い、小細工をしないで無心に進むなら吉」。あるがままの姿でいきましょう。

 

  • 二6:潜在意識は良くも悪くもあなたの習慣的考えを再生産していることを知れ。

不耕穫、不菑畬、則利有攸往。

「菑」は新しい田。「畬]」は二年目の田。「田畑の手入れを何もしないで、放ったらかしにしておいて自然にできた物だけを収穫 し、土地 の手入れをすることなく田畑をつくるようであれば、進んで良い」。報酬や利益を一切求めずに、成り行きに任せればうまくいく時です。

 

  • 三6:失敗と惑じてもあなたはその望みをかなえられる。

无妄之災。或繋之牛。行人之得。邑人之災。

(むもうのわざわい。あるいはこれにうしをつなぐ。こうじんのうるは。ゆうじんのわざわ い。)

「行人」は通りすがりの旅人。「邑人」は村人。「天雷无妄 の時の災いとは、ある人が牛をつないでいたら、通りがかりの者が盗んで連れていったようなものだ。村人が疑われて大迷惑」。とんでもない災難に巻き込まれ やすい時です。義理があっても、何事にも関係しないのが一番の得策です。

◎あなたの考え方、進み方に問題点があります。よく反省し、改めましょう。

 

  • 四9:流れに身をまかせる決心があなたを成功させる。

可貞。无咎。

(ていにすべし。とがなし)。

「貞正にしていれば問題はない」。現状維持に徹する時です。

 

  • 五9:心の楽しみは良い薬である。

无妄之疾。勿薬有喜。

(むもうのやまい。くすりなくしてよろこびあり。)

「天雷无妄の時の病気は、薬を用いなくても治せて、喜びを得られる.」。人為的な特別な手段を用いなくても、放っておけば、自然に問 題が解決する時です。慌てない、慌てない。

◎天雷无妄の中では良い時です。

 

  • 上9:すべてのことには季節があり、すべてのわざには時がある。

无妄。行有眚。无攸利。(むもうゆけばわざわいあり。よろしきところなし)。

「天雷无妄の時、これ以上望みを起こして進めば、ひどい目に遭う。良いことはない」。 思い違いもはなはだしい時です。災いを避けたいのなら、むやみに動かず、人の意見に素直に従うことです。

◎あなたの考え方、進み方に問題点があります。よく反省し、改めましょう。

 

 

「マーフィの易い」J.マーフィ(昭和61年、産能大学出版部)及び以下を参照しています。

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