キーワード 創造的なもの(男性原理、顕在意識)
乾。元亨利貞。 (けんはおおいにとおる。ていによろし。)
「乾為天の時、大いに通じる。貞正であれば良い」。乾為天は、天と天が二つ重なった全陽の卦で す。天高く大宇宙の元気が満ち満ちており、活気と勢いがあります。こうした時には、万事に前向きに高い目標を持って人生を開拓しましょう。この卦が出た ら、仕事などで超多忙な時です。ただし、いくらやる気満々といっても、陽の勢いのままあまりに昇りすぎたり、やりすぎないようにしましょう。驕らず、周囲 の人の意見を聞く余裕を持ち、気持ちを引き締め、バランスをとって進みましょう。各爻は龍の一生の物語で解説してあります。
〔大意〕『易経』には 乾は、元いに亨りて貞きに利ろし」と書かれています。この元、亨、利、貞はしばしば「春夏秋冬」に対置されます。すなわち元(げん)は春であり芽生え、出発、亨(きょう)は夏ですくすくと成長発展していくさま、利(り)は秋の実り、子となって翌年に備える――いわば物事の生成発展をあわらします。
「至高な力と結びつけば、その力はあなたの生命の中で活動するようになる」その至高の力とは宇宙、大自然を創造した根源的な力で、そうした力は一人ひとりの人間にも宿っているということです。
顕在意識が現在の状態をあるがまま肯定的に受け入れるならば、それは潜在意識の中に眠っている善い種子に水をやり、太陽光線を与えることになり、そこから豊かな実りが得られるでしょう。
すべてが陽からなるこの卦(か)は、男性的原理の象徴で、正しい心で積極的に取り組めば物事がよくかないます。
あらゆる面で昇り調子、物事は順調に運び、計画の実行はゴーサイン。願望は成就されるでしょう。ただし幸運は待っていても、向こうからやってくるほど都合の良いものではありません。自ら望み、準備し、行動することが大切です。
「人間は自己の運命を創造するのであって、これを迎えるものではない」とフランスの作家ヴィルマンはいいました。
運命論者のいう運・不運は他動的に与えられるのではなく、自らの思考と行動によって選択し、獲得するものです。
この卦で注意する必要があるのは、すべてが陽で肯定的である点で、陰陽思想は変化してやまないものだけに、短気、高慢、自信過剰はせっかくの良い卦を逆に不運に変えてしまうことです。
● 初爻 穏やかにして信頼しているならば力を得る。。
潜龍勿用。 (せんりゅうもちうるなかれ。)
「潜龍」とは田んぼの中に潜んだ龍のこと。「潜龍の時、自分の力をひけらかしてはならない」。今は、会社でいえば新入社員です。あな たには自分で思っているほど実力はありません。周囲の人もあなたの力を認めてくれていません。じっと我慢して力を蓄えましょう。
● 二爻 尊敬し信頼している人に相談せよ。
見龍在田。利見大人。 (けんりゅうでんにあり。たいじんをみるによろし。)
「見龍」とは田んぼの上に上がってきた龍のこと。「龍が田んぼに上がった時、有識者に相談することだ」。会社でいえば、あなたの存 在がようやく認められ、主任になり受付に配属されたような時です。しかし、頭角を現し始めたといっても、まだまだ経験不足の時です。上司や見識ある人の指 導を謙虚に受けましょう。
◎良い時です。
● 三爻 リラックス あらゆる心痛や争いから解放されなさい。
君子終日乾乾。夕惕若。厲无咎。
(くんししゅうじつけんけん。ゆうべまでてきじゃくたれば、あやうけれどもとがなし。)
「惕若」とは畏れ慎むこと。「君子たるもの、一日中 乾乾と仕事に励み、夕べになるまで慎重に頑張れば、危うい地位であるが問題はない」。易は課長の地位は大変だと見ます。今は本業に専念して頑張りましょう。粘りと気配りが大切です。
● 四爻 いっさいのことを愛をもって行なうべきである。
或躍在淵。无咎。(あるいはおどりてふちにあり。とがなし。)
「龍が池の淵から天に飛び立とうとしている時、問題はない」。 会社では、社長の側近の部長の姿です。いくら実力が備わっていても、社長から睨まれて地方へ飛ばされてはおしまいです。焦らず、分限を守って慎重に行動しましょう。目標までもう一歩。
● 五爻 成功者、指導者、心の豊かな人の忠告はあなたに幸運をもたらす。
飛龍在天。利見大人。 (ひりゅうてんにあり。たいじんをみるによろし。
「龍が天高く昇った時、有識者に相談することだ」。堂々たる社長の姿です。時と所を得てまさに絶好調の時です。ただし、優秀な部下の意見をよく聞いて進むような度量の広さも必要です。
◎大変良い時です
● 上爻 他人の健康と幸福、成功と平和を望むことをしなさい。
亢龍有悔。(こうりゅうくいあり。)
「亢龍」とは昇りすぎた龍。「昇りすぎた龍は後悔することになる」。進むを知って退くを知らず、強気でやりすぎ、周囲から浮いてしまった姿が「亢龍」なのです。これ以上進めば心臓が止まって昇天してしまうか、燃料切れで墜落してしまうでしょう。
◎あなたの考え方、進み方に問題点があります。よく反省し、改めましょう。
「マーフィの易い」J.マーフィ(昭和61年、産能大学出版部)及び以下などを参照しています。
http://www.keisho.server-shared.com/64/k1.html