こうして、吉方、凶方がきまってくると、ときには、吉方と凶方、あるいは、凶方と凶方がかさなりあうということが起こってきます。

たとえば、一白生まれの人が、四緑の日の方位を調べるとすると、下図(1)のように、その人にとって良い星である七赤の星のいる方角が、ちょうど一白のいる方角の反対側に当たることになります。一白はこの人の本命星ですから、一白のいる方角は本命殺となり、その反対側の七赤のいる方角が、的殺の方角に当たることになってしまうのです。このように、古方と凶方がかさなりあった場合は、白血球と細菌のように、おたがいがおたがいを伐いつぶしあい、プラスマイナスゼロになってしまいます。つまり、その方角は、とくに良くも悪くもない方角になってしまうのです。

ただし、暗剣殺だけは、その凶の性質がとくに強いため、吉方とかさなっても、「吉方破れ」といって、なおすこし凶の性質が残り、弱い凶の方角となるのです。

同じ図(1)の三碧の星のいる方角が、そうなっている例です。三碧は吉方のはずなのですが、賠剣殺の強い凶に打ち消されて、結果としてはこの方角は、弱い凶となってしまっているのです。

また、もし、一白生まれの人が、三碧の日の方位を調べるとすると、図(2)のように、五黄の星と一白の星がおたがいに向かいあう方角にはいることになり、五黄殺と的殺がかさなり、本命殺と暗剣殺がかさなることになってしまいます。もちろん、この場合は、凶の性質が二倍にふえて、より強い凶の性阻を示すことになります。とくに、暗剣殺とほかの凶がかさなった場合は、凶のうちでも、もっとも強い凶となるのです。

このように、凶方には吉方とちがってその性質の強い弱いというランクが出てきます。吉方は、吉方同士がかさなりあうということがないため、吉の性買の強さということではみな平均しているのです。もちろん、強さは同じでも、それぞれに性格のちがいがあり、得手・不得手があるということは、「吉方にも得手・不得手がある」で述べたとおりです。凶が凶同士、あるいは吉とかさなりあうためにできる弥弱のランクを弱い順から整理してみると、まず、暗剣殺と吉方がかさなりあった「吉方破れ」の場合で、これを便宜上「小凶」と呼ぶことにします。つぎは、ふつうの凶方がかさなりあうことなく出ている場合で、これをふつうの「凶」つぎは、凶方のなかでとくに強い凶の性質をもつ暗剣殺がほかとかさなりあうことなく出ている場合で、これを「大凶」つぎは、賠剣殺以外の凶方が二つかさなった場合で、これを「最大凶」最後は、暗剣殺とほかの凶方の一つがかさなった場合で、これを「超最大凶」と呼ぶことにしておきます。このほか、とくに五黄生まれの人の場合は、とうぜん、つねに五黄殺と本命殺がかさなり、したがって、賠剣殺と的殺もつねにかさなるということになります。このとき、この賠剣殺と的殺のかさなりに、もう一つ吉方がかさなるという特殊ケースが出てくることがあります。この場合も、いままでの考え方を適用すれば、的殺とその吉方とがたがいに吉・凶を消しあい、あとは暗剣殺がそっくり残ることになるのがわかるでしょう。ですから、一見複雑なこのかさなりあいも、結局は、暗剣殺単独の勘合と同じ「大凶」となるわけです。このような、吉方・凶方のかさなりの結果出てくる方角の吉・凶、そして凶の強さのランクは、各生まれ星別のブログの九昆盤のまわりに記されています。

 

◎出典 「改定方位学入門」高木彬光著 カッパブックス及びブログ作者の収集データーによる◎