つぎに、もう一つ各人に共通の悪い星、五黄の星がはいっている方角は、「五黄殺」と呼ばれ、その正反対側の方角は、「暗剣殺」と呼ばれる凶方になります。一般的に見た場合、「五黄殺」の方向へ動くと、たちの悪い慢性の病気にかかったように、だらだらと不幸がつづくことが多く、「暗剣殺」の方角では、まるで劇薬でも使ったように、急激に災難が起こりやすいとされ、凶方のなかでも、もっとも強い凶方だと言われています。
この「賠剣殺」で忘れられないのは、太平洋戦争の重大な転換点となったと言われる、ミッドウェー海戦のことです。明らかに優勢な日木悔軍連合艦隊が、わずか五分という差で、その日の「暗剣殺」東の方角から来たアメリカ軍飛行機の急襲を受け、大惨敗を喫したことです。もしそのとき、日本側に方位学の知識を持ちあわせたものがいて、もっともあぶない賠剣殺の方角に似察機を数機も飛ばしていたら、あるいは世界の歴史はもうすこし変わっていたかもしれません。
凶方には、じつはこのほかに、またすこしちがった観点からあげられる「歳破」「月破」などという凶方があります。しかし、この本では、なるべくかんたんに、方位学の基本をわかっていただくのが目的ですから、説明をはぶいておきます。
◎出典 「改定方位学入門」高木彬光著 カッパブックス及びブログ作者の収集データーによる◎