もう一つ、だれもが知っている例をあげましょう。

第二次世界大戦で、ドイツのヒトラーがおかした最大の失敗は、ソ連への攻撃だったと言われています。

かるに、それだけの兵力の何割かをアフリカ戦線にむけたなら、ドイツの常勝将軍ロンメル将軍は、カイロやスエズ運河を占領できたろうということは、軍事専門家の一致した意見ですそのときには、まだアメリカは参戦していなかったのですから、この戦争もどうなったかしれません。

この独ソ開戦の年、つまり1941年の方位を調べてみますと、ベルリソから見て東南の方角にあったアフリカの戦線は、ヒトラーにとって吉方に当たり、東・・・ソ連への道は、さきほども述べた「本命殺」という凶方に当たっていたのです。

しかも、軍事専門家たちは、6月22日の対ソ作戦開始が、あと一ヵ月早かったら、ソ連は壊滅したかもしれないと言いきっています。この年は冬将軍の来襲が例年よりも一月早く、モスクワに数キロの地点まで迫っていたドイツ軍は、極寒のために戦闘力を失い、退却に移ったのですから……。

たしかに、この年の6月の方位を調べると、東はさきほどの例にも出てきた「五黄殺」という凶方に当たっていました。しかし五月の方位では、東は凶方ではなかったのです。

5月に開戦したならば、おそらくドイツ軍としても、もっと有利な条件で冬を迎えられたろうということは、最小限度、まちがいのないことです。

戦争のような大問題を、方位学だけで割りきるのは冒険でしょうが、ここから出てくる結論と、軍事専門家が理論的に割り出した結論がぴったり一致するところに、私は方位学の神秘な力を感じるのです。

 

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◎出典 「改定方位学入門」高木彬光著 カッパブックス及びブログ作者の収集データーによる◎