一般的な健康問題を考えるときには、まえに述べた吉方・凶方の考えがそのまま適用されます。

八白生まれの人は、自分の健康に関しては、人一倍神経質なところがあります。なにか、新しい薬が出たり 新しい健康法を聞いたりすると、すぐにとびつきたがりますが、どうも長つづきしない傾向があります。健康管理ももちろんけっこうですが、あまり新奇な方法をねらわず、ある程度までは自然にまかせたほうが、この星生まれの人にはかえってよい結果を生むようです。ただし、中年以上の人は、九紫の星のいる方角の医者と親しくしておいてください。

この吉方に向かって行動すると、肝臓、心臓、血圧、神経痛などには、目に見えて効きめがあります。それから、老化現象の―つである脚がよくなります。できるなら、一日十分でも二十分でも、この吉方に向かって散歩するような習恨をつけてください。一年もすれば、はっきりと効果があらわれます。

呼吸器関係の病気には、七赤の吉方がたいへん効果があります。むかし、結核の化学療法が進歩していなかったころには、べテランの占い師は、こういう吉方に転地をすすめ、体力を回復させて、しぜんに病気がなおるようにしたということです。

ほかの星の場合にも、呼吸器に効果のある吉方は、転地療法の理想だったのです。現代では、そこまでの必要はないかもしれませんが、もし呼吸器系統の病気にかかったら、まずこちらの吉方にいる医者に相談してみてください。

また、歯医者にかかるような場合なら、こっちの吉方にいる医者が、技術はたしかです。痛みも、ほかの医者にかかるよりは楽でしょう。

胃腸系統の病気なら、二黒の星のいる方角の医者にかかるようにしてください。病気でなくても、胃腸が弱く、やせている人なら、毎日十分ぐらいずつ、この吉方に向かって散歩をつづけてみてください。まもなく食欲が増進してきますし、血色も目に見えてよくなってきます。胃弱や便秘症ぐらいなら、三ヵ月もすれば全快するでしょう。

ノイローゼとか、下半身たとえば腰椎ヘルニアなどの病気なら、六白の吉方にいる医者に相談するとか、この方角へ旅行や引っ越しをするなどの生活の転換をはかってみてください。

腎臓病やセックスの病気の場合にも、こちらの古方が最適です。子どもの病気や健康刑進にも、この方角が目に見えてブラスの力を発揮してくれます。

数年まえ、私の知合いの八白生まれの奥さんが、山で子どもに遭雉されたことがあります。南アルブスのある山で、隊員もべテランぞろいですから、まちがいはないはずですが、ちょうどその子の年から計算すると、東京から見て西にあるその山は、暗剣殺に当たっていたようです。たいへんな子煩悩だっただけに、それからあとのその奥さんの悲しみといったらたいへんなものでした。死にたい、死にたいーーとたえずくりかえし、私が人相を見たかぎりでも、まるで幽霊のように生気がありません。そのころ、いっしょにククシーに乗ったのですが、車をおりたとき、ちょうどメーターが420円になったのを見て、「わたしももうじき命がないのね。」と涙をこぼすくらいですから、私も溜め息をついてしまいました。

この調子では、ほんとうに自殺するか、それとも粕神病院へ入院するようなことにでもなりはしないかと内心案じていました。やはり旦那さんも黙っていられなくなったのでしょう、心機一転という意味で、東北の方角へ引っ越したのです。

私はべつに相談をうけたわけではありませんが、ちょうどその奥さんにとっては六白の星のいる吉方に当たっていましたので、ああよかったと思っていました。

引っ越しをしてからも、しばらくは床をはなれられなかったようですが、そのあとは神経のほうの回復も順調で、しばらくぶりで会ったときには、人が変わったように朗らかになっていました。

「うちの子も好きなことをして好きなところで亡くなったのです。たとえ短い一生でも、さぞ満足だったでしょう。」

と、淡々と語るその言菜を聞いて、私もよかったと思ったものでした。

 

◎出典 「改定方位学入門」高木彬光著 カッパブックス及びブログ作者の収集データーによる◎