男女ともに、この吉方からあらわれた相手と結婚したときには、女の子にたいへん頭のいい美人が生まれます。

一白の星のいる方角からあらわれる男性は、女性的なぐらいやさしい性格です。人とのつきあいもうまく、天成の外交家といったところがあるでしょう。

といって、誠実さに欠けているわけではありません。なお、言葉づかい―つにしても、とかく遠まわしな言い方をすることが多く、ある意味では本心がつかみにくいのです。しかしこの人は、生まれつき金運にもめぐまれています。また頭も柔軟な鋭さといったようなものを持っていますから、何をやらせてもうまくいきます。一生、生活に不自由することはなく、とくに晩年にはそうとう以上の財産を残せるようになるでしょう。

この方角かあわれる女性は、世話女房としては絶好のクイブです。性格は湿和で、口数は少ないほうですが、愛情はじつにこまやかで、芯もしっかりしています。でしゃばることは大きらいですが、子どもの教育にはじつに熱心ですし、良妻賢母としては理想的な性格だと言えるでしょう。この女性の美点は、恋愛中よりも、むしろ結婚後にわかってくると言えます。

男女ともに、この吉方からあらわれる相手と結婚すれば、子どもはたくさん生まれます。健康な、いい子ばかりでしょう。

私の知合いに、四緑生まれの女性がいます。子どもは二人いるのですが、ある男に誘惑され、その子どもを婚家にのこして、東京へとび出して来たのです。私は一度、その身の上話を聞きましたが、それは気の毒なくらいでした。最初の男からは捨てられ、それからめぐりあう男たちともどうしてもうまくいかず、一人寂しく働きながら、子どものことを案じつづけているのです。彼女に言わせれば、別れた夫は浮気者でどうにもならなかったというのですが、私はためしに彼女の東京へ出て来た日を聞き出しますと、九紫の日に当たっていまし た。九星盤をたしかめると、東京は完全に暗剣殺と本命殺がかさなった二重の凶方に当たっていたのです。

おそらく、恋は盲目――という四緑生まれの欠点がここにはっきりあらわれたのでしょう。最初に彼女を誘惑した男というのも、どちらかの凶方からあらわれたにちがいありません。

 

◎出典 「改定方位学入門」高木彬光著 カッパブックス及びブログ作者の収集データーによる◎