葬儀は期をまたがず、3月31日に行った。それまで、会社を休んだことのない男が、一か月近くも、空席で会社を顧みず、本当にこいつの妻は病気なのか、と不審がられたかもしれない。会社の友人が、ちょうど、逝去の日に病院を訪問してくれた。
私の生気が失せた顔を見ながら、やはりただ事ではないと感じたのかもしれない。
状態を聞いて、すぐに会社に戻った。
通夜は、当時覚えた般若心経を一心に唱えて、線香を絶やすことはなかった。当時、4歳だった息子は、お経を唱えると、木魚を叩いて、一緒に弔った。
彼女は猫好きだったのか、近所の猫が、何匹ものぞきに来た。一匹とても白い美しい猫が来たのを今でも覚えている。
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