◎ 世代間ギャップの真相 ◎『武田邦彦の科学的人生論』飯塚書店刊より

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◎ 世代間ギャップの真相 ◎

あるお父さんが「結婚前にフィアンセと性的交渉をするなんて、とんでもない!」と怒る。
その横でドラ息子が「なに言っているんだ。おやじ、そんな古いことを言っていたら、ボケるぞ!」と言い捨てて、玄関を出て行く。
お父さんはお父さんで、息子は息子でその時代に生きている。かつて20年にわたって行われた世論調査の中に、「婚前交渉は是か非か」という設問があった。
調査が実施されたのは1970年から1990年までの20年間。最初の調査では「婚前交渉は認められない」という人が多かったのに、それから20年も経つと、多くの人が「別にいいじゃないか」という意見に変わった。
人間は、もともと事の本質から考えて「良い悪い」を考えることは少ない。むしろ「みんながやっているからいいじゃないか」と考えるものである。だから、「みんながやること」が、そのうち「正しいこと」に変わる。
だから、我々は「時代の子」になり、「婚前交渉はいい」ということになる。それを「困ったことだ」と古い時代の人は嘆く。言葉を換えれば、年を取ればとるほど頭が固くなっていくということになる。
ただ、この世論調査の結果を、別の見方で見てみると面白いことがわかる。その「別の見方」とは「一人の人に注目して見る」ということである。たとえば1970年に30歳だった人の回答を見てみると、10人に4人が「婚前交渉はよくないことだ」と答えている。
次に1980年に行われた調査で40歳の人の回答を見てみると、やはり10人に4人が婚前交渉に否定的である。なぜ「やはり」かというと、その人たちは10年前に30歳だった人たちだからである。「1970年に30歳だった人」のグループを見ると、10年経っても意見は変わっておらず、それからさらに10年後、50歳になってもやはり10人に4人、つまり「40パーセント」の人たちが婚前交渉に反対しているのである。
要するに「時代が変わったから人の心が変わった」のではなく、「人間一人ひとりは変わらないが、お年寄りが退場して代わりに新しい人たちが入ってくるので、見かけ上はヶ正しいことクが変化する」ということが、「変化」の本質なのだ。
つまり、「その人が生きた時代」によって「その人が正しいと思うことが決まる」ということを意味している。これを言い換えると「人は、それぞれ人生と経験が異なっているのだから、正しいと思うことが違っているのは当然だ」ということである。
「なんで彼はわからないのだろうか!」と嘆く。「ああ、うまく行かない!」と悩む。
しかし世代の異なる人間が、自分の思う通りに動くはずもなく、自分が正しいと思うことに同意してくれないのはむしろ当たり前なのである。それなのに、多くの人は「正しいことなのに、納得してくれない」と悩む。
実は、そう考えること自体が正しくないのだ。自分にとって正しいだけで、他人に取っては正しくなく、「世代と育った環境が違えば、意見も違う」のが当然なのである。
言葉で相手を説得することはできない。できることは、ただ「私はこう思う」と言うことだけである。
それを念頭に置いて周辺を見渡すと、きっと「ああ、そうかだったのか!」と納得できることがあるはずだ。

『武田邦彦の科学的人生論』飯塚書店刊より R081031

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おてんとうさまの下で
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