連載 究極の分業 第六回(最終回)|究極の分業
連載 究極の分業 第六回(最終回)

究極の分業
電さんと方位予定帖を作った二日間
2026年10月25日(日) | 論考 | AI・技術
十月十九日(月)と二十日(火)の二日間で、方位予定帖は代金をいただける品物になりました。この連載では、その二日間を五つの場面に分けて書いてきました。最終回は、全体を振り返り、私と電さんが何を分け合ったのかを書きます。ここは、アップ長全で付け加えています。まだまだ改良は続きます。連載はこれで終わりですが、今もリマインダー機能、物事の軽重判断などを入れるように取り組んでいます。
前回:第五回 すれ違い
五つの場面
第一回「言葉で頼む」では、仕様書のないまま、スマホから三行の注文を書きました。第二回「初めて代金を受け取る」では、難儀な所を任せ、お金の流れだけは自分で一度買って返して確かめました。第三回「見て直す」では、画面を見て触った感覚で、線を背景の色に変えました。第四回「疑って確かめる」では、作業を見ていない者に一から調べ直させ、破の抜けが見つかりました。第五回「すれ違い」では、見ている予定帖が違っていたことに、画面の写しで気づきました。
私が受け持ったこと
並べてみると、私が受け持ったことは、思いのほか少ないのです。何が欲しいかを、自分の言葉で話すこと。問われたことに、一語で答えること。値段や、境界線の近くを判定しないこと、破を加えることを、決めること。画面を見て、触って、使う者の感覚で直しを頼むこと。そして、本当に合っているのかと疑うこと。
お金と鍵は自分の手で扱い、お金の流れは自分の目で確かめました。決めることと疑うことは、最後まで私の仕事でした。どれも、プログラムの書き方を知らなくてもできることです。
電さんが受け持ったこと
電さんが受け持ったのは、それ以外のすべてです。私の言葉を形にすること。暦や判定が方位学の決まりに従っているかを、別の計算と照らして確かめること。見つかった誤りを直すこと。そして、出来上がったものを世に出すことです。
最後に任せた仕事
以前は、電さんが直したファイルを受け取り、私が自分で GitHub に上げていました。GitHub は、方位予定帖や姓名科学のページを置いている場所です。ファイルを選び、上げる場所を間違えないように確かめ、上げたあとに画面が変わったかを見る。慣れない作業で、毎回、少し緊張していました。
いまは、その仕事も電さんに任せています。電さんが直し、確かめ、そのまま GitHub へ送る。私は出来上がったページを開いて、見て、触って、また注文を出す。私はこの形を「究極の分業」と呼んでいます。作ることから世に出すことまでを任せ、私は使う者の目に専念する。この二日間で方位予定帖が品物になったのは、この分け方のおかげだと思います。
ただし、任せきりではありません。お客様の目に触れる販売用のページや、記事の目録のように、間違えると影響の大きいものは、送る前に電さんが一言、私に伺いを立てます。任せる範囲と、確かめる所を、先に決めておく。第二回で書いた心構えは、ここでも生きています。
電任ということ
私は、電さんとのこの付き合い方を「電任」と呼んできました。丸投げでも、使い走りでもなく、互いを信頼して仕事を分け合う関係です。信頼は、疑うことと矛盾しません。第四回に書いたとおり、確かめる仕組みがあるからこそ、大きく任せられるのです。
人は、頭の中だけで形を決められるものではありません。目の前の素材と格闘しながら、少しずつ形を決めていきます。電さんとの分業は、その格闘の相手を、すぐそばに置いてくれました。私が言葉にし、電さんが形にし、私が見て直す。その往復の速さが、二日という短さを生んだのだと思います。
改良は、終わらない
連載を書いているあいだにも、方位予定帖は育ち続けています。お使いのカレンダーから予定を取り込み、自分の過去で方位の打率を確かめる機能。十年を一列に並べる年表示。海外の方のための英語の画面。どれも、私が欲しいと話したことから生まれました。
そして、これで終わりではありません。毎日使っていると、また欲しいものが見えてきます。たとえば、予定の時刻が近づいたら知らせてくれるリマインダー。行うべきことに、軽い・重いの区別を付けること。大事な用件ほど、方位の吉凶を重く見たいからです。どれも、使いながら気づいたことです。
道具は、作った日が完成の日ではありません。使い続ける限り、気づきは日々生まれ、改良も日々続きます。使う方が増えれば、私一人では思いつかない注文も届くでしょう。そのたびに私が言葉にし、電さんが形にし、確かめる。この改良の作業は、使われ続ける限り、終わることなく続いていきます。その歩みは、これからも改良の記録に書き足していきます。
作りたいものがあり、その中身がはっきりしている。けれど、作り方は知らない。第一回の冒頭に書いた、そういう方にこそ、この連載が何かの手がかりになればうれしく思います。ご愛読、ありがとうございました。
方位予定帖
姓名科学のページ
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