連載 究極の分業 第四回 疑って確かめる

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疑って確かめる
連載 究極の分業 第四回
決まりに従っているか、確かめて依頼見ていない者が、一から調べ直す点検歳破・月破・日破が抜けていた発見偶然でも三割五分は当たる物差し
疑って確かめる ― 電さんと方位予定帖を作った二日間
電さんと仕事をしていて、いちばん気をつけていることがあります。電さんは、確認が得意ではない。私はそう感じています。頼んだことはすばやく形にしてくれます。けれど、「できました」と言われたものが、本当にその分野の決まりに従っているかどうかは、別の話です。今回は、その疑いから始まった十月二十日(火)の話です。
「できました」を、そのまま信じない
方位予定帖は、九星気学の方位盤を予定帳に重ねる道具です。盤の星が一つずれていれば、吉が凶に、凶が吉に変わります。使う人は、それを頼りに出かける日や方角を決めるかもしれません。間違いは、そのまま人の行動に響きます。
そこで私は、電さんに念を押しました。手を加えたら、出てきたものが方位学の決まりに従っているかを、しっかり確かめてほしい。これは今回だけの注文ではなく、いつも守ってほしい心得として伝えてあります。
人でも同じだと思います。自分の書いた書類を自分で読み返しても、思い込みのまま読んでしまい、誤りに気づきにくい。確かめるなら、別の目が要ります。
見ていない者に、一から調べさせる
電さんの答えは、私の予想を少し超えていました。作業を見ていない別の担当を立て、九星気学の決まりを一から調べさせて、できあがったものを点検させるというのです。作った者の説明を聞かずに、決まりのほうから照らす。作った本人が自分に丸を付けるのでは、確かめたことにならないからです。
点検は、まず暦から始まりました。年盤・月盤・日盤の中央の星を、天文計算で別に組んだ暦と2,923日分、公開されている九星暦と33日分照らしました。結果は、すべて一致です。吉凶の規則は、高木彬光先生の『改訂版 方位学入門』の方位表648通りと照らし、画面に出る表示も102,483項目を調べて、不一致はありませんでした。
それでも、抜けは見つかった
暦はすべて合っていました。そのうえで、一つだけ抜けが見つかりました。年・月・日の十二支の反対側に当たる方位、歳破・月破・日破です。一般の九星気学では、誰にとっても凶とされています。けれど、私が拠り所にしてきた高木先生の方位表には入っていません。
表と同じに作ったのですから、表に照らせば一つの誤りもありません。電さんが決まりどおりに作ったことは、確かめられていました。抜けていたのは、表の外にある決まりです。作った者が自分の作ったものだけを見ていたら、気づくことはなかったと思います。
加える前に、歴史で試す
では、破を加えるべきか。私は、すぐには決めませんでした。加える前に、歴史上の出来事で試してもらうことにしたのです。出発地・行き先・日付・生年月日のはっきりした出来事を六つ選び、それぞれの日と方角が破に当たっていたかを調べてもらいました。
不幸な結果に終わった四件のうち、二件が破に当たっていました。うまくいった二件は、どの破にも当たっていません。数字だけを見れば、破は当たっているように見えます。
ところが電さんは、六件では何も言えない、とはっきり言いました。でたらめに選んだ日と方角で試しても、三つの破のどれかに当たる割合は三割五分ほどあるからです。何も考えずに選んでも、三割打者並みには「当たって」しまう。この物差しを先に示されたことで、私はかえって電さんを信用できると思いました。都合のよい結果だけを並べて、「当たりました」と言うこともできたはずです。
大事をとって加え、但し書きを添える
私は、破を加えることに決めました。六件で当たると言えたからではありません。方位予定帖は、大事をとるための道具だからです。境界線の近くの行き先を「判定しない」としたのと同じ考えです(第一回)。破に当たる方位は、ほかの判定が軽くても「凶」とし、高木先生の方位表には含まれないことを、画面の但し書きに明記しました。
加えたあとも、確かめは続きます。破の方位を、別の計算と十年分、3,653日照らし、すべて一致しました。
疑うことは、信頼の裏返し
振り返ると、この日に私がしたことは、疑うことだけでした。作り方は分からなくても、「本当に合っているのか」と問うことはできます。そして、確かめ方まで電さんに考えさせました。
疑うのは、電さんを信用していないからではありません。任せる仕事が大きくなるほど、確かめる仕組みを先に決めておく。確かめる仕組みがあるからこそ、安心して大きく任せられるのだと思います。電任とは、丸投げのことではありません。
このとき示された三割五分という物差しは、のちに方位予定帖のカレンダー連携で、使う方ご自身に打率を測っていただく考えにつながりました。その話は、「手もとの予定が、そのまま検証帳になる」に書きました。
予定を書き込むと、その日の方位盤が重なる予定帳です。歳破・月破・日破も、凶の理由として示します。予定の記録と今日の日盤は無料です。
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・高木彬光『改訂版 方位学入門』
牧正人史先生が昭和三十三年に発見された姓名科学の体系を、デジタルの形で遺す仕事を続けています。方位予定帖の暦も、この仕事の中から生まれました。
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