◎ 中村修二氏の8億円 科学者にとっての「正当な報酬」とは ◎
10年以上も前の話になるが、後に青色発光ダイオード(LED)を開発してノーベル賞を受賞することになる中村修二氏が、かつて働いていた会社を相手に起こした訴訟で勝訴したとき、新聞やテレビがいっせいに「中村修二さんおめでとう日」と報じた。
その当時の新聞記事の概要を以下に紹介する。
「ノーベル賞級の発明とされる青色発光ダイオード(LED)を開発した米カリフォルニア大サンタバーバラ校の中村修二教授(49) が、かつての勤務先で、青色LEDの特許権を所有する日亜化学工業(徳島県阿南市)に対し、発明に見合った対価の一部として200億円の支払いなどを求めた訴訟の判決が30日、東京地裁であった。
三村巌一裁判長は『充実した研究部門を備えた大企業と異なり、小企業の貧弱な研究環境の下、個人的能力と独創的な発想で世界的発明を成し遂げた、職務発明としては稀有な事例だ』と述べ、『発明の対価』を少なくとも604億円と認定した上で、請求通り200億円の支払いを命じた」
中村さんはそのときはカリフォルニア大学の教授であったが、もとはサラリーマンだった。中村さんがサラリーマン時代の研究1 青色発光ダイオードが成功して会社は全部で1200億円、中村さんが直接関係した部分では600億円も儲けた。だからその3分の1は中村さんのものだという判決だった。
裁判は会社側が控訴して高裁に上がり、結局、約8億円少しで話し合いがついた。中村さんは少し不満顔でテレビの会見に応じ、「会社で働く技術者の励みになれば」とご自分はお金が欲しかったわけではない、技術者を代表してお金を獲得したのだと言われていた。
『武田邦彦の科学的人生論』飯塚書店刊より R081006

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