◎ 第二章 仕事・お金 ◎
「水か低きに流れる如く」何も考えずに動く
やることなすことすべてうまくゆき、緊張もなく肩も凝らない人生というものはどんなものだろうか……?そんなことを若い頃、よく考えた。
この世の中を見渡してみると、なにをやってもなんとなくギクシャクした人もいるし、スムースに物事が運んで行く人もいる。いつもピリピリと緊張している奴もいれば、至ってのんびりしている奴もいる。
30代の頃、そういったいろいろなタイプの人が私の周りにいて大変勉強になった。その人たちを参考にさせてもらっているうちに「100発100中の武田」などと言われるようになったけれど、実はそれには先生がいたのだ。
「先生」と言っても学校に行っていたわけでもなく、その人が年上とか偉い人とかそういう意味ではなく、ともかくその人を見ているととても参考になるのだ。
物事がスムースに行く極意はなんだろうか?
大切なのはどうやら「とりあえず目標を置かない」ということらしい。「とりあえず」というのは、大きな目標はあるのだが、毎日、目標を意識している訳ではない。だいたいの方向が決まっているだけだ。
でも、毎日、目の前にしなければならないことが来るので、そんな時にとかく「これは自分にとって何の役に立つのだろう」とか、「これをやってもあまり得にならないのではないか」とくだらないことを考えてしまう。
物事がスムースに進む人を見ていると、「やらなければならないことは、なにも考えずにやる」というように見える。少し抽象的な表現をすれば「水が低きに流れる如く動く」と言ってもよいだろう。
朝が来ればやることは決まっている。顔を洗い歯を磨き、ご飯を食べ服を整えて靴を履く。歩いて駅まで行き、霞車に乗ってつり革につかまり会社に出る。
なんということはない。辛いこともないし困難もない。
でも、人間だからついつい、朝起きたら「ああ、今日も行くのか」とため息をついたり、水道の栓をひねっては「冷たい!」と不満を言ったり、電車に乗れば席が空いていないかと探す。
スムースに行く人はそんなことは気にしないようだ。どうせ会社には行かなければならないし、冬になれば水道は冷たいし、電車だって立ってても死ぬわけではない。第一、そんなことを考えるから疲れるということもわかっている。
『武田邦彦の科学的人生論』飯塚書店刊より R080920

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おてんとうさまの下で
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