◆ 「満足度」から見えてくる時代の転換点 ◆
「力と物の時代」が終わりを迎えたという仮説を、これから証明していきます。
注目したいのは「満足度」です。我々の幸福というのは、この満足度が大きくかかわってくるものです。
内閣府による「現在の生活の満足度」*39(国民生活に関する世論調査)に関する調査から検証していきます。高度成長が終わり、1990年代初頭にバブルが崩壊してから2020年までの約30年間はほとんど経済成長はありませんでした。この時期の日本人の「満足度」を見てみると、非常に面白い傾向が見られます。
農業で人間の力を使って作業する期間は、実質約1か月)という調査結果も出ています。
つまり、「筋肉」を使う期間が10分の1以下になったということです。
これは農業だけでなく、工業でも同じです。昔は女下が手を使って糸を紡いでいました。
少しずつ糸を織り、織物にしてそれを裁断して、一着一着服を作っており、とても大変な作業でした。それが、18世紀に力織機、19世紀に自動織機が発明されたことにより、織物が短時間で作れるようになりました。大量生産が可能になり、それが他製品に広まっていきました。
冷暖房についても同じです。昔は山の木を切り、それを一生懸命連んできて、蒸し焼きにして炭を作り、その炭を火鉢に人れて火を起こして暖をとっていました。それが今はスイッチ一つで、あっという間に部屋を暖かくすることができます。
このように産業革命によって人間社会は大変革を遂げましたが、実はこの「力と物の時代」は20世紀で終わったのです。
正確には、1990年前後と言ってもいいかもしれません。日本ではバブルが弾け、世界的にはソビエト連邦の崩壊、ベルリンの壁の崩壊、中国での天安門事件など一つの時代の終わりを告げる出来事が頻発した時期です。
※39 国民生活に関する世論調査
内閣府が、政府の施策に関する意識を把握するため昭和43年度から原則毎年度実施している世論調査。国民の生活に関する意識や要望を種々の観点からとらえ、広く行政一般の基礎資料とすることを目的としている。
「多様性」のまやかし グローバリズムの危険性と持続性喪失の原理 武田邦彦 啓文社書房 令和6年刊より
R080813

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