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◆ 第6章 多様性を阻むグローバリズムの危険性 ◆「多様性」のまやかし グローバリズムの危険性と持続性喪失の原理 武田邦彦 啓文社書房刊より

◆ 第6章 多様性を阻むグローバリズムの危険性 ◆

現代社会における格差拡大の原因
前章では、現代社会の不平等が封建主義の時代よりも悪化している可能性をデータなどで指摘いたしました。
それをまとめると、次のようになります。

【現代社会における格差拡大の原因は、「力が正義」の思想】

① カのある者が指導する地位に就く
② カのある者が得をするシステムをつくる
③ カのある者が報道をコントロ—ルする
④ 封建主義より格差が広がる
⑤ 格差拡大で多様性や持続性が喪失する
⑥ 動物より劣ることばかり
⑦ 人間の脳の構造的欠陥が出る ⇒「貧乏根性」

「力が正義」の社会では、力のある者が上へ行きます。力のある者が社会を指導する地位に就くと、彼らは自分たちが得をする政策やシステムをつくるようになります。
さらに、力のある者が報道をコントロールするという現象が起こります。「力が正義」のもとでシステムがつくられていけば、力のある者が社会を支配するため、報道機関もそこから逃れることはできません。
例えば、現在アメリカの「ニューヨーク・タイムズ」や「ワシントン・ポスト」など良識があるとされる新聞の報道が非常に偏っています。国際政治アナリストの伊藤貫先生※25 は「ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストを支配しているのはウォール街だ」と喝破(かつば)しています。
その結果、支配層に都合の悪い情報や利益となる情報も一般層へは伝わりません。情報は「力」の源泉でもありますから、ますます格差が広がります。
格差が広がり、階層が固定化されることで、社会の多様性や持続性は失われていきます。
このような状況は、動食物の一般原則から大きく外れています。前述したように、生物集団の体系で、その生物界の頂点に立つ者が自らの数を増やすことなく持続性を保っために調整するというのは、ロイヤル島のオオカミの例の他にも多く観測されています。
そういう面では、人間は他の動物よりかなり劣っています。この理由ははっきりしています。それは、人間の脳の構造的欠陥です。
人間のみ「大脳新皮質」が異常発達しています。この大脳新皮質はいわゆる知性を司っている器官なのですが、これによって「本能」が作動しずらくなっているのです。
他の生物は、約6億年という多細胞生物が生き残ってきた経験から、無意識的に制御がかかります。ライオンやクマなども、あるところまでいくと満足した状態になります。「これ以上、捕食したり、仲間の数を増やすと全体のバランスが崩れる」ということを、本能的に知っているのです。

大脳新皮質の進化によって人間は発展してきたのですが、「いつになっても満足できない」という負の性質も併せ持つようになりました。私はこれを「貧乏根性」と名付けています。
「力が正義」の思想が蔓延する世の中で、Jの「貧乏根性」がさらに大きな問題をつくっているのです。

そして、特に「貧乏根性」の強い国があります。
それは————アメリカです。

※25 伊藤貫
1953年生まれ。日本の評論家、国際政治アナリスト、米国金融アナリスト、政治思想家。日本の中国佼攻や対米従屈、アメリカの対露政策や中東政策を戦略的視点から批判している。

「多様性」のまやかし グローバリズムの危険性と持続性喪失の原理 武田邦彦 啓文社書房 令和6年刊より
R080804

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