◎ おわりに
ドイツの哲学者、ヘーゲルは次のような言葉を残しています。
‥‥ミネルヴァのフクロウは夕荘れに飛翔する‥‥
ギリシャの知恵の女神、ミネルヴァの横に侍(はベ)る「フクロウ博士」は、朝方は眠るようにジッとしているが、夕暮れになるとやおら飛び立ち、暮れようとする世界を見て回ります。
なぜ、フクロウは夕暮れに飛翔するのでしょうか?
朝、太陽は東から昇り、新しい一日が開けて、すべての活動が始まります。その時に、飛び立つ鳥は「夢、希望、そして無謀という名前のついた鳥たち」だと私は思っています。
朝方ですから、その日は何が起こるか、どういう結果になるかはわかりません。それでも太陽が昇るとともに、勇んで飛び立ち、昼頃になると1羽、そして夕方が近くなる頃、また1羽と墜落して地上に哀れな姿をさらすことになります。
それでも、最後に残った一羽の鳥がついに成功して繁栄します。
すでに太陽が傾き夕闇が迫ってきた頃、フクロウはようやく羽繕いをして女神の横から飛び立ち、上空からその日一日の戦いを見て、それぞれの失敗の原因、成功の理由をしたり顔で解説します。
しかしフクロウは、次の朝も飛び立ちません。ことが終わった後に意見をするのは簡単で、「人間の知恵」というのは未来を予想することができないのです。
社会が繁栄し、活気があるためには、「夢、希望、そして無謀」な若者が多くいなければなりません。ヘーゲルはそれを言っているのです。
でも、今、若者に勇気を授ける役割を持っているはずの年配者やNHK、そして知識人は、未来を暗く描いて若者から夢を奪っています。
なぜなら、今の日本は生半可な知恵があって解説をする人が大きな顔をしているということで、彼ら自身は未来を予想できないので、暗いことばかりを言っているのです。
人間は無限の力があり、未来にはまったく不安はないのです。平安時代には到底、テレビも自動車も携帯電話も思い浮かばないように、これから1000年後の人は、今の私たちを見て「ひどい生活をしていたものだ」と言うでしょう。
以上
家庭で行う正しいエコ生活』武田邦彦 平成21(2009)年 講談社刊より 20260306src=”https://image.space.rakuten.co.jp/d/strg/ctrl/9/0954dbc1fdde114ea9fccd7f7446ae8bfeac4b10.16.9.9.3.jpeg” border=0 name=”insertImg” />
