連載:至誠の覚醒 ―第6話― 【深層の学び舎 ― 時空解析研究所での錬成】
平成18年(2006年)。私の日々は、二つの異なる「数字」の間で激しく揺れ動いていた。
一つは、生命保険の営業として追いかけられる「契約数」という非情な数字。そしてもう一つは、府中の片隅にある「時空解析研究所」で向き合う、宇宙の理(ことわり)を解き明かす「宿命の数理」である。
時空解析研究所には、日本の未来を憂う政治家や、かつての「深層」を知る者たちが頻繁に出入りしていた。そこは、情報の表と裏が交差する、ある種の高潔な磁場のような場所だった。
「誠さん、事象の裏側にある『真実』を掴まなければ、人はただ流されるだけですよ」
恩師・笹田先生の言葉に背中を押されるように、私はその門を叩いた。目的は、龍崎先生が用いる時空解析グラフの根幹にある「数理」を、自らの手で体系化することだった。
私は丸二週間の休暇を捻出し、文字通り研究所に「籠って」学んだ。
それは単なる占いではない。杉本五郎中佐が『大義』で説いた「私心を捨て去る自覚」や、山中峯太郎が記した「日本的人間の錬成」に通じる、自己を厳しく律するための精神修行に近いものだった。
菊池寛の『航空対談』の中で、指揮官たちが「天候」という不確実な未来を読み解こうと苦闘したように、私もまた、生年月日から導き出される膨大なデータの波の中に、確かな「航路」を見出そうとしていた。
「なぜ、この時期にこれほど苦しいのか」「なぜ、あの縁は偽りだったのか」
解析を進めるほどに、Excelのシートの上に、私の人生を翻弄してきた荒波の正体が、冷徹な数理として浮かび上がってくる。
この「学び」は、私に一つの確信を与えた。
世の中には、タヴィストック洗脳研究所が仕掛けるような「人を操作する技術」が確かに存在する。しかし、宇宙の数理に根ざした「至誠」という防壁を築くことができれば、いかなる外圧も私の核を壊すことはできない。
時空解析研究所の静かな深夜、カチカチというマウスの音だけが響く。
私は、後に「量子ブロックチェーン」へと結実する、**「嘘を許さない、数理による真実の証明」**という構想の、最初の種火をこの時、確かにその胸に灯したのである。

連載:至誠の覚醒 ―第6話― 【深層の学び舎 ― 時空解析研究所での錬成】R080222