日本の海面上昇
そばに四つもプレート(太平洋プレート、北米プレート、ユーラシアプレート、フィリピン海プレート)がある日本の場合、「雑音を除いた海面上昇」をつかむのは、容易なことではありません。気象庁が選んだ「地盤変動の影響が小さい」計測点(同庁の表現)は、一九六〇年以前は北海道・忍路、石川県・輪島、島根県・浜田、宮崎県・細島の四か所でした(どれも港。計測は一九〇六年=明治三九年にスタート)。一九〇六年以降は北海道・稚内など一二か所を加え、計一六の地点で海水準を測っています。
二〇二一年までの結果をまとめると、こう言えるそうです。
① 計測期間の全体(一九〇六~二〇一二年)に、明確な上昇傾向はない。ただし海水準には、周期が一〇~二〇年と、五〇年以上の変動があるようだ。
② 一九六〇年以降の海水面は、周期変動を伴いながらも、一六地点の平均で、一年間に一・二~一・七(平均一・五)ミリメートルずつ上がってきた。
二〇〇六~二一年(直近一六年間)の海面上昇は、右記より大きい二・九ミリメートル/年でした(気象庁の推算)。ただし、周期変動が今後どうなるか読めないこともあり、わずか一六年間の測定から「二・九ミリメートル/年」と断じるのは早計でしょう。
先ほどの海面上昇率(一・五ミリメートル/年)は、少し前にご紹介した世界の値に似ています。とはいえ、一九六〇年以降(CO2大量排出時代)の値だから、「地球温暖化」と関連があるかどうかは教えてくれません。
気候変動・脱炭素」14のウソ』渡辺正著(丸善出版株式会社)