〇「金」の威力
今まで述べてきたところをもって、現在および過去の世情の秘密を出来るだけ明らかにしたつもりである。我々は近い将来にその結果を見るであろう。私は我々とゴイムとの関係を律する秘密計画を述べ、また我々の財政策を述べたから、これに付け加えることは極めてわずかである。
我々は近代威力の最も大きなものを握っている。すなわち「金」である。四十八時間以内に必要な金は引き出し得る。我々の世界征服は神の思召しによることを諸君には証明する必要はないではないか。
このような富を見れば、幾世紀に渡って我々が重ねてきた悪事は人類に真の幸福をもたらす目的達成に役立つことがわかるではないか。ゆえに秩序は暴力をもってでも回復するであろう。我々は苦の娑婆に真の繁栄と、個人的自由を与えた善人であることを証明し得る。同時に人類相互の間に平和、安寧と威厳とを確立したこともわからせ得る。もっともそれには人々が我々の与える勅令法律に服従することを条件とする。自由とは放縦ではない。すべて己の欲することをなすことは成り立ち得ない。また威厳と権力とは「信仰の自由」「平等」とかこれに類する無稽のことを宣伝する権利を与えさせるものではない。いかなる場合においても、個人的自由は他人や自分自身にも迷惑をかけて混乱を引き起こしたり、雑踏した集会のなかで笑われるような演説をして、自分の価値を貶めたりする権利を含んでいるものではない。これと反対に自由は社会の法律を厳に遵守することによって、「人間の不可侵」を意味するのである。人類の尊さは自分の権利という考えを持つとともに、自制の精神をも含む点にある。この自らを抑制する方法は、自身に属する架空の夢を禁ずるのである。
〇神さえ手出しできないユダヤの権威
我々の政府は強力であるから尊敬される。その政府は人間の指導者や弁舌家の後塵を拝して、元気もなく這ってゆくのでなくて、人々に規則を与え、これを導いてゆくのである。その弁舌家などは絶えず、意味のない格言を大原則と呼んで陳述しているが、その大原則なるものは、結局空想に過ぎないのである。我々の政府は秩序を立てるが、その代わりに人民に幸福を与える。そして神秘的に尊敬を受け、人民はその前に頭を下げる。真正の政
府はいかなる法の前にも譲歩しない。神の法の前にすら然りである。何人もその権力の一原子をも奪おうとする者はなかろう。
[定本]『シオンの議定書』四王天延孝原訳 天童竺丸補訳・解説 成甲書房