天皇陛下は明治天皇の御志をつがせられ、ますます我が國をさかんにあそばし、又我等臣民を御いつくしみになります。我等はつねに天皇陛下の御恩をかうむるこどの深いことを思ひ、忠君愛國の心をはげみ、皇室を尊び、法令を重んじ國旗を大切にし、祝祭日のいはれをわきまへなければなりません。日本人には忠義と孝行が一ばん大切なっとめであります。家にあっては父母に孝行をつくし、兄弟たがひにしたしまなければなりません。
人にまじはるには、よく禍儀を守り、他人 の名巻を重んじ、公盆に力をつくし、博愛の道につとめなければなりません。
そのほか規律たゞしくし、學問にべんきやうし、迷信におちいらず、又常に身體を丈夫にし、克己のならはしをつけ、よい習慣を養はなければなりません。大きくなつては志を立て、自立自營道をはかり、忠賓に事にあたり、志を堅くし、仕事にはげまなければなりません。
我等は上にあげた心得を守ってよい日本人とならうとつとめなければなりません。けれどもよい日本人となるには多くの心得を知って居るだけではなく、至誠をもつてよく賓行することが大切です。至誠から出たものでなければ、よい行のやうに見えてもそれは生氣のない造花のやうなものです。
『国民の修身』監修 渡辺昇一