昔天照大神は御孫壇壇杵尊(ににぎのみこと)をお降(くだ)しになって此の國を治めさせられました。尊の御曾孫が神武天皇であらせられます。天皇以来御子孫がひきつゞいて皇位におつきになりました。神武天皇の御卽位の年から今日まで
二千五百八十餘年になります。此の間、我が國は皇室を中心として、全國が一つの大きな家族のやうになつて榮えて来ました。御代々の天皇は我等臣民を子のやうにおいつくしみになり、我等臣民は祖先以來、天皇を親のやうにしたひ奉つて、忠君愛國の道に盡しました。世界に國は多うございますが、我が大日本帝國のやうに萬世一系の天皇をいたゞき皇室と國民が一體になってゐる國は外にはございません。
我等はかやうなありがたい國に生まれ、かやうな尊い皇室をいたゞいてゐて又かやうな美風をのこした臣民の子孫でございますから、あつばれよい日本人どなつて我が一帝國のために盡さなければなりません。

【 現代語訳】第一課  我が国
昔、天照大神(あまてらすおおみかみ)は御孫・壇壇杵尊をお降しになって、この国を治めさせられました。尊の御曾孫が神武天皇であらせられます。天皇以来、御子孫が引き続いて皇位におつきになりました。神武天皇の御即位の年から今日まで、二千五百八十余年になります。この間、我が国は皇室を中心として、全国が一つの大きな家族のようになって栄えてきました。御代々の天皇は我ら臣民を子のようにお慈しみになり、我ら臣民は祖先以来、天皇を親のように慕い奉って、忠君愛国の道に尽くしました。世界に国は多うございますが、我が大日本帝国のように、万世一系の天皇をいただき、皇室と国民が一体になっている国はほかにはございません。
我らはかようなありがたい国に生まれ、かような尊い皇室をいただ いていて、またかような美風をのこした臣民の子孫でございますから、あっばれよい日本人となって我が帝国のために尽くさなければなりません。
(五年生)
『国民の修身』監修 渡辺昇一