天の下に山があり天から恵みが降り注いでいる。これは極めて自然の相に合致し、また、安定し、実りの多い状態です。
これは心の平安を意味し、あなたにとっては活動もうまく行き得るものも多い。それは目立つ動き、外見の派手さはないが、潜在意識が顕在意識と一緒になって、計画や目標へ向かって一路まい進しているときでもあります。
マーフィー博士はこれに静止の意味を与えました。もともと艮（ごん）が「とどまる」ということですから、これは『易経』本来の意からはずれていません。「あなたは心の車輪を静止させ、あなたの目標、あなたの欲望に注意を集中せよ」といいます。
これは休止でもあります。しかし潜在意識の理論では、肉体的に活動をしていない場合、たとえば思考している状態も立派な活動と見る。休息も同じく目標志向のための重な活動と考えますので、この卦は、たんに動かない、休むと単純に解釈するわけにはいないのです。
瞑想という行為はきわめて静的なものです。しかし瞑想の効果はどうかといえば、これは目標志向活動といっていい。マーフィー博士は成功する秘訣として「毎日ベッドに入って眠る十数分前に、自分の願望の実現していくさまを想像し、そうなることを確信しなさい」とすすめます。それが習慣になれば、あなたは成功するというのです。
静止とはそういう意味合いをもったもので、怠惰や安楽な休息、居眠りといった消極的な行動ではないのです。むしろ意志を固め、信念を高め、集中力をますための重要なテクニックなのです。
艮（ごん）の持つ象徴語
〔概念〕山、静止、慎重、誠実、高所、貯める、孤立、待つ、展望、忍耐、こだわり
〔人間〕三男、末子、新関、後継者、独裁者、宗教家、警備する人、頑固な人
〔自然〕山、高台、丘、土手、林
〔動物〕犬、虎、竜、豹
〔身体〕鼻、背、腰、ひたい、間接
「マーフィの易占い」J.マーフィ（昭和61年、産能大学出版部）
