次に易占いに使われるいくつかの用語について、解釈の助けになる簡単な解説をしていきましょう。周知の通り『易経』の原典というのはきわめて難解です。参考までにここにそれを示してみましょう。前に71番目の卦をモデルに説明したので、ここでもそれを示してみます。

「随、元亨利貞、元咎」これが本文の最初の部分です。これは「随(ずい)は、元(おお)いに亨(とお)りて、貞(ただし)きに利(よ)ろし。咎(とが)なし」と訳されています。これは岩波文庫『易経』からの引用ですが、何の知識もなしにこれだけ見てもまったく理解はできません。

しかし、 じっと我慢をして本文を読んでいくと、そこには一定のパターンがあることにすぐ気がつきます。たとえば「元いに亨りて」は「大いに通りて」で、「望みがかなう」「大いにやりなさい」であり、「貞しきに利ろし」は「正しきによろし」で「道にはずれないでいなさい」「そうすれば悪いことはおきない」という意味である。「咎なしは「とがなし」であり、「あなたの責任ではない」「罰は受けない」ということであるさらに「随」は「従う」ことだから、この71番目の卦は「人に従えば、望みはかなう身を正しくしていれば問題はない」ということになるわけです。このように、本文にはひんばんに出てくる定型化された文章がある。そのいくつかを次に掲げてみます。

 

「マーフィの易占い」J.マーフィ(昭和61年、産能大学出版部)