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キーワード:楽しいもの

兌、亨。利貞。

兌は、亨る。貞しきに利し。

兌は説ぶ意、説びをもって道とするので亨る。ただし説びは常に貞正をとりたもってするのがよろしい。

象曰。 兌説也。剛中而柔外。説以利貞。是以順乎天而應乎人。説以先民。民忘其努。説以犯難。民忘其死。説之大。民勧芙哉。

象に曰く、兌は認なり。剛中にして柔外なり。説びて以て貞しきに利し、是を以て天に順い人に応ず。説びて以て民に先だてば、民其の労を忘る。説びて以て難を犯せば、民其の死を忘る。説びの迂いなる、民勧む哉。

 

 

〔大意〕兌(だ)は「喜び」「楽しいこと」の意。この卦は兌の上にまた兌(だ)があるのですから、いやがうえにも楽しいことがやってくることを暗示しています。

そこで問題になるのは、いまのあなたの心の持ちょうです。フランスの思想家ルソーは「人間をつくるのが理性であるとすれば、人間を導くのは感情である」といいました。また、伝記作者として名高いロマン・ロランは「人間の感情の四分の三は子供っぽいもの残り四分の一はもっと子供っぽい」といっています。

わたしたちは理性に基づいて人生をわたっているようでいながら、実際は感情に支れていることが多い。しかもその感情の大半は非常に子供っぽいもので、コントロールが難しい。

ところが楽しみとか喜びというものは、感情の領域にありますから、うまくトロールしないことには、二律背反に陥ることになる。

楽しみや喜びを優先させると、人生が現実から遊離する。現実に即した生き方をする真の喜びや楽しみは制御されるということになってしまう。これでは困るわけです。潜在意識の理論ではこうした矛盾はおきません。

なぜなら、それは「欲望は善である」という立場をとっているからです。「真の意おいて悪い欲求などは存在しない。欲求を殺したり、抑圧したりすることのほうが結悪い。欲望こそ人を成功させる大きな要素である」とマーフィー博士はいいます。

あなたは「自分は人生を楽しむために生まれてきたのだ」と思わなくてはなりません。そして潜在意識がそれを実現してくれることを確信することです。そのときから、あの潜在意識はあなたに忠実に慟きはじめます。そしてあなたの望みはすべてかなえらのです。

 

 

 

  • 初9:自分の喜びのために働きなさい。

和兌。吉。

和して兌(よろこ)ぶ。吉。

 

  • 二9:あなたは自分にとって喜ばしい言葉しか口にしてはならない。

孚。吉。悔亡。

孚あり兌ぶ。吉。象伝に信志なりとある。互いの志の相合うことから兌び合うのである。

 

  • 三6:不謹慎な喜びは敬遠しなさい。それは禍根を残します。

来兌。凶。

来り兌ぶ。凶。とは何故であろうか。前述の程伝にも示す通り、自ら邪媚の傾向がある。又外から邪心を以て迎合してくるものがある。それを悦んで受け入れる傾向もあることを戒めねばならぬ。

 

  • 四9:他人も喜んでくれる種類の喜びを求めよ。

商兌。未寧、介疾有喜。

商(はか)りて兌ぶ。未だ寧(やす)んぜず。介疾・喜有り(象辞)。四爻は下を承けて、上を輔ける大切な時処である。兌ぶ中に、思慮あり、協議がなければならぬ。気を緩うしてはいけない。介疾は大体二通り訓みかたがある。「疾(やまい)を介(へだ)つ」と「介して疾(にく)む」である。九四は九五と六三の中に介在する。いずれにも疾がある。双方為にする所あって狎れ合われてはいけない。その中に立って善処するというのが前者で、中に立って不義の行われることを気にして防ぐことが後者である。結局同じことである。

 

  • 五9:つかの間の快楽は長い苦しみのもと。

孚于剥。有厲。

中正で兌の主である。申し分ないのであるが、元来兌は好い気分になって、知らず識らず邪に媚び入られる性質があるから、九五は特にこれを慎まねばならぬ。この爻辞に、剥に孚あり。厲ありとなっている。剥は陽を消す陰の作用である。卦の面では、上六に位する小人にあたる。兌の九五変ずれば雷澤帰妹となるのである。

 

  • 上6:愛と信頼、誠実、調和を喜びの糧としなさい。

引兌。

引いて兌ぶ。伝に言う、未だ光ならず。卦の面から見れば、九五を或いは他の陽爻を引きつけることである。まだ独楽・自慊に達していない。兌の極致、亦功成り名遂げた、或いは名利の外に立つ者である上六に於いては、独り楽しむ(この独は孤独の独ではなく、自主自由、絶対的な意味の独である)、自慊(謙)に至らねばならない

 

 

「マーフィの易い」J.マーフィ(昭和61年、産能大学出版部)を参照しています。