54雷沢帰妹

キーワード:通じている女

帰妹、征凶。无攸利。

帰妹は、征けば凶なり。利しきところなし。

 

 

帰(き)は「とつぐ」の意で、妹は少女、まだうら若い娘がとつぐのはよくない、というのが、この卦でいわれていることです。

むろんこれは象徴的な意味を含んでおり、未熟な者が一人前の社会的行動、肉体的経験をすることは危いということをいっているわけですが、マーフィー博士はこの卦のキーワードを「通じている女」としました。

これはどのような意味でしょうか。

いささか通俗的ですが、これを「夫に内緒で姦通している女」と解釈すると、男にとっては好ましくない情況、好ましくない存在であることがわかります。実際に自分の妻の男性と性的交渉があるということよりも、自分にとっての災難、災いのシンボルと考えると、さまざまな解釈が成り立ちます。

ともあれ、この卦は自分に罪はないのに、どうも災難がふりかかってく 、まさかとうような出来事に出会うということですから、行動は慎重に、また、日常生活のペースは出来るだけくずさないほうがよい。いわゆるメンタルシグナルによく耳を傾けるべきとといえましょう。

われわれは自分が物事を判断するとき、目ざめた意識で判断をしていると思いがちです。しかし、これは判断の最終決定を下しているのが理性というだけであって、プロでは実は潜在意識の占めるウエイトが大きい。

だからこそ、理性に反するような思いが浮かんで悩んだりもするのです。しかしいまは理性で判断するよりも潜在意識の声に耳を傾けるべきです。いま起ころうとしている変化は、理性や論理的推論では絶対に測定できないものだからです。あなたの理性はと受容的になるべきです。

 

  • 初9:建設的な考え以外はしてはいけません。

帰妹以娣。跛能履。征吉。

妹を帰(とつ)がせるのに娣(“てい”、介添え)をつける。跛(びっこ)でも能く承け合って歩けるようにしてゆけば吉とする。

 

 

  • 二9:あなたを支配するのは他人ではなく、あなた自身です。

眇能視。利幽人之貞。

眇(すがめ)にして能く視るとするように、悦んで理性を失ってはならない。奥ゆかしい心がけを持たねばならぬ。

 

  • 三6:他人の思惑は関係ありません。自分の道を行くべきです。

帰妹以須。反帰以娣。

雷の初陽・九四に熱中する兌の女子で、放任すれば「須を以てす」、即ちはした女の所業になる。反省して介添えの娣とともに帰がねばならない。

 

  • 四9:みだらな考え、みだらな行為をする人に気をつけなさい。

帰妹愆期。遅帰有時。

前半を過ぎた所で、結婚は期がやや遅れたと言えるが、陰の位で、陽動の象である。変わらずに待ってゆけばよろしい。

 

  • 五6:何でも理解するようにつとめることが、あなたの心を平安にします。

帝乙帰妹。其君之袂、不如其娣之袂良。月幾望。吉。

漸く道を誤たずにめでたく結婚式をあげるのであるが、かの殷の天使帝乙がその妹を帰がせた時のように、花嫁の衣裳が介添えの装いに及ばなかったような質素ぶりが吉。常に望月の欠けたることの無しと思えばではいけない。

 

  • 上6:収穫を得るために必要なものは、活気と熱意と建設的な思考です。

女承筐无実、士刲羊无血。无攸利。

雷の上爻で、始めほどになく後の消える象である。実が無い。それを戒めねばならぬ。

 

 

 

「マーフィの易い」J.マーフィ(昭和61年、産能大学出版部)及び以下を参照しています。