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キーワード:減少

損。有孚。元吉。无咎。可貞。利有攸往。曷之用。二簋可用亨。

(そんはまことありげんきち。とがなし。ていすべし。ゆくところあるによろし。なにおかこれもちいん。にきもちいてきょうすべし。)

「損」は減らす、損失、奉仕などの意味。「簋」は神前へのお供えを盛る竹の器で、「八簋」が正式だが、「二簋」にまで簡略化して、質 素の極限を表現したもの。「山沢損の時、誠があれば大いに吉。問題はない。貞正にして進んで良い。祀るに何を用いるべきか。質素な二つの竹皿を供えれば良 い」。山沢損の時は、物心両面ともに損失のある時です。しかし、目先の利益に惑わされず、しかも見返りを期待せずに、変わらぬ気持ちでこつこつと奉仕の姿 勢で進むことがポイントです。たとえ今は損するようであっても、誠意をもって行えば、後には必ず自分の身に大きな利益となって戻ってきます。「損して得取 る」、大きな心で投資しましょう。

 

 

 

〔大意〕損の字は「減る」「へらす」「損害」などの意だが、必ずしも悪いことを意味しているわけではない。減ること、へらすことで幸運をつかめることを暗示しているといえます。『易経には「孚あれば、元吉にして咎なし。貞しくすべし。往くところあるに利ろし」と書かれていることからもそれはうかがえます。

そのことから人を減らす(人員整理)のによいとか、他人のために苦労ばかりする時期とかいった解釈がなされている。俗にいう「損して得とれ」といった受けとめ方が一般的です。

自分のおかれた情況で、それぞれが意味を見つけ出せばいいのですが、潜在意識の立場からいえば「いったん減少させることで、次に増大させるエネルギーを貯える象」と考えられます。

なんでもそうですが、前進一本やりではエネルギーが枯渇する。プラスがあればマイナスがあり、増大があれば減少がある。まさに易の根本理念たる「陰陽」は自然の摂理である。

これは何人といえども動かすことはできない。

ならば減少を一つのスプリングボードとして大いに活用しなければいけないということです。わたしたちは減少よりも増大を望む。しかしそれは良い事柄においてであって好ましくないことは減少してくれたほうがいい。借金の増大は困るし、体重の増加も健康によくない。この卦が出たら「減少を楽しむ」という心構えが必要です。

マーフィー博士はそれを「感情をコントロールすることだ」といっています。減少におびえ、不安を感じるのではなく「いまはそれがベターなのだ」と思い切る気持が大切だということです。欲丸出しの人は惑情がコントロールできてないから、一時的に増大させてもやがて大きな損失に出会うでしょう。

 

  • 初9:気軽に人の援助を受け入れることなかれ。

已事遄往。无咎。酌損之。

(ことをやめてすみやかにゆく。とがなし。はかりてこれをそんす。)

「事」は携わっている仕事のこと。「自分の仕事をやめて速やかに行く。問題はない。事情をくみ取った上で自分を損することだ」。実 情を見て適正に行うことも大切です。限度を知るべし。

 

  • 二9:沈黙できないなら新しい事を企てるな。

利貞。征凶。弗損益之。

(ていによろし。ゆけばきょう。そんせずこれをえきす。)

「貞正にして動かぬのが良い。進んで事を行えば凶。自分は損することなく他を益する」。動かずに自分を大切にしたほうが良い時です。 見守って自立を促すことも人助けのうちです。

 

  • 三6:自分とだけ相談して人にいってはならない。

三人行則損一人。一人行則得其友。

(さんにんゆけばすなわちいちにんをそんす。いちにんゆけばすなわちそのともをう。)

三人で行けば一人が仲間外れになるが、一人で行けば友を得られる」。共同で行うより単独で行ったほうが成功しやすい時です。多くを望 まず目標を一つに絞ること。

 

  • 四6:愛、親切、調和、平和を念じなさい。

損其疾。使遄有喜。无咎。

(そのやまいをそんす。すみやかならしむればよろこびあり。とがなし。)

「疾」は病根のこと。「病根を断ち切る。速やかならば喜びがある。問題はない」。障害を速やかに除くべき時です。手当は早めにするこ と。

◎良い時です。

 

  • 五6:謙虚にあれば良い事がおきる。

或益之。十朋之亀弗克違。元吉。

(あるいはこれをえきす。じっぽうのきもたがうあたわず。げんきち。)

「十朋之龜」は非常に高価かな亀のこと。「思いもよらず益される.この上なく立派な亀で占う必要もない。大いに吉」。思わぬ助力を 得られ、難なく利益の得られる時です。

◎大変良い時です。

 

  • 上9:人に知恵を与えれば、あなたはますますみがかれる。

弗損益之。。无咎。貞吉。利有攸往。得臣无家。

(そんせずこれをえきす。とがなし。ていきち。ゆくところあるによろし。しんをえていえなし。)

「自分を損することなく他を益す。問題はない。貞正にして吉。進んで良い。自分の家のことを忘れるくらいに奉仕をしてくれる良き臣下 を得る」。部下の惜しみない協力を得られるのはもちろん、大いに信望を集める時です。誠意を大切にしましょう。

◎大変良い時です。

 

 

 

「マーフィの易い」J.マーフィ(昭和61年、産能大学出版部)及び以下を参照しています。

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