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キーワード 停滞

否。之匪人。不利君子貞。大往小来。

(ひはこれひとにあらず。くんしのていによろしからず。だいゆきしょうきたる。)

「否」は否定の否で、塞がって通じないこと。「天地否の時には人の道がまともに行なわれない。君子がいかに貞正を守って事を行なおう とし ても、行なえない。大人が追い出され、つまらぬ小人がのさばっている時だからである」。天地否の時は正しいことや常識が通じず、まさに「不毛」の時です。 ま た、人との不和も多く、生活も思わしくなく、孤独な時です。このような時は正論は控え、つまらない者とは極力関わらないことです。会社でも派閥抗争に加 わったり、業者からワイロをもらったりしないことが肝要です。

 

 

 

〔大意〕この卦は地天泰(ちてんたい)の反対で『易経』「大往き小来る」と書かれている。否は否定の否であり、通じない、ふさがることです。自分の希望や計画がなかなか達成しないことを暗示しているわけです。

すべてが正常な状態ではなく、かりに自分で正しい、絶対に大丈夫と思うことでもなぜかだめになる、俗にツキがないというのがこれです。一体こういうときにはどうしたらいいか。 ついてないのだから、消極的になったほうがいいか。

たし気がおとろえているのだから、行動においてはひかえ目であることは必要ですが、心が消極的になるのはまちがいです。「一度あなたの理想を設定したら、怒りとか批判とか悪罵(あくば)とかを問題とせずに、それに忠実でいることである。あなたの心の掟と、善意、正直、誠実に基づいた生活の型に断固として忠実でありなさい」というマーフィー博士のこの卦に対するメッセージは、ツキのないときどう対処したらよいかを教えてくれています。

 

つきのなさ、運の悪さを口にすることは、潜在意識の働きを否定することです。潜在意識はそれでも忠実に慟きますが、その方向はあなた自身がいま口にしているツキのなさの方向なです。

このメカニズムはたいへん恐ろしい。あなたは不運を望むつもりはなくても、自分自身でそれを望んでいるのと同じことだからです。

この卦の持つキーワード「停滞」は、あなた自身を試すものといってよいかも知れません。逆境、苦労の多いときにあなたは何を考え、どう行動をするのか。そこで必要になってくるのは知識ではなく知恵です。苦労が人を育てるという言葉を思い出し、勇気をもって現状打開に取り組むことです。

 

  • 初6:黙想と祈りのとき、偉大な力を信じてそれに委ねよ。

抜茅茹。以基彙。貞吉。亨。

(ぼうをぬくにじょたり。そのたぐいをもってす。とおる。)

「茅」はイネ科の多年草。「茹」は草の根が連なること。「彙」は仲間のこと。「茅を抜くとその根が連なって抜けるように、仲間と協力 することだ。貞正にして吉。通じる」。チームワークを大切にする時です。天地否の時、悪い仲間の誘惑もあるでしょう。そうした者たちとズルズルと行動をと もにして一網打尽の憂き目に遭わないよう用心することです。

 

  • 二6:ヘつらう者、口のうまい者に気をつけよ。

包承。小人吉。大人否亨。

(ほうしょうす。しょうじんはきち。たいじんはひにしてとおる。)

「包承」は他に包み込まれ従うこと。「得体の知れない者がはびこる時、このような者に素直に従って小人は吉かもしれない。だが,大人 はキッパリと付き合いを断って,通じる」。能ある鷹は爪を隠すべき時です。自分の信ずる道を守りましょう。

 

  • 三6:もがくな。もがけばもがくほど転落は早められる。

包羞。

(はじをつつむ。)

「恥ずかしいことを包み隠している」。内部に問題を抱えている時です。やましい秘密を隠し持っていたり、まだ、下心を持って人に接し ていたら、信用を失い孤立してしまいます。

◎あなたの考え方、進み方に問題点があります。よく反省し、改めましょう。

 

  • 四9:内なる力に呼びかけよ。

有命无咎。疇離祉。

(めいありとがなし。たぐいさいわいにつく。)

「疇」は同類のこと。「離」はつくこと。「天命に従っていけば問題はない。志をおなじくする者と協力することでお互いに幸せにな る」。会社の中では上司の命令に良く従うべき時です。幸せを皆で分かち合うような広い気持ちで過ごすことです。

◎天地否の中では良い時です。

 

  • 五9:自然にさからうな、自然はまちがいをおかさない。

休否。大人吉。基亡基亡。繋于苞桑。

(ひをきゅうす。たいじんはきち。それほろびんそれほろびんとす。ほうそうにつなぐ。)

「苞桑」は桑の木の根元のこと。「天地否の状態が止んだ.大人ならば吉である。しかし、亡びるかもしれない、亡びるかもしれないと桑 の木の根元につなぎ止めるように慎重に行動することだ」。台風の目に入ったような時です。すなわち、ここにきて一息つけますが、ゆめゆめ油断することなく 警戒を緩めないことです。

 

  • 上9:心を静め、時分を自然と調和させよ。

傾否。先否後喜。

(ひをかたむく。さきにはふさがりのちにはよろこぶ。)

「天地否の時が傾いた。初めは塞がっていても、後には喜ぶことになる」。 闇の中に光が差し始め、先が見えて来ました。苦しみ転じて喜びとなる時です。

◎天地否の中では良い時です。

 

「マーフィの易い」J.マーフィ(昭和61年、産能大学出版部)及び以下を参照しています。

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