対人関係の問題を解決するのにも、さきにあげた一般的吉方・凶方があくまても基本になります。まず、すでに相手がきまっている場合、たとえば、どうしてもおたがいにうまくいかない相手との仲の改善をはかるためには、まず相手の家が自分の家からどの方角にあるかを見さだめ、たとえば東にあるとしたら、東が吉方になった日を選んで慟きかけるのです。これを何度かくりかえせば、かならず効果があらわれるでしょう。
つぎに、対人関係というかぎり、相手の選び方というのが重要な問題となってきます。吉方を使えばいい相手にめぐりあえることはまちがいないのですが、どの吉方を使うかによって、どんな相手にめぐりあえるか、ちがった結果が出てきます。
まず、三碧の星のある方角からあらわれる相手は、あなたの仕事のうえには、たいへんなブラスとなってくれます。とくにあなたが人気商売なら、この人の力をうまく利用すると、人気は目に見えて高まります。
また、あなたが会社の幹部や管理戦のように、大勢の人間を動かしていかなければならない立場だったら、部下のなかでこの方位にいる人問をうまく利用することを考えてください。もちろん、この協合には“声をかける”日の九星盤から割り出した方位を使うわけですが、相手はあなたの期待にこたえて、ばりばり慟いてくれるでしょう。それをくりかえしていけば、あなたの部下に対する統制力もしぜんに強まってくることうけあいです。
むずかしい交渉事などで、どうしてもだれかの力を借りなければいけないときにも、三碧の方位の人間が役に立ちます。
私はあるとき、一白生まれのある会社の社長から、弁護士の選定の相談をうけたことがありました。取引先との厄介な金銭上のトラプルでしたが、私のアドバイスで三碧の方位の弁設士を選んだところ、向こうがたちまち折れてきて、裁判にもならず、有利な解決ができたということでした。
四緑の星のある方角にいる相手は、協力者としてはもってこいです。こっちが誠心誠意、腹を割って相談したならば、向こうもこっちの立楊を十分尊重して、喜んで力になってくれるでしょう。
ことに、新しく取引きをはじめるようなときに、この方位にいた相手とは、すぐに共存共栄の実績があがりますし、ブラスの関係にも永続性があります。
この四緑の方位で、あなたの役に立ってくれる人間は、年齢や地位などもだいたい似たような感じで、同格のつきあいができる人が多いのです。物の考え方や趣味などにも共通点がありますから、そういう意味でもつきあっているうちには、いろいろのプラスがあるでしょう。
六白の星のはいっている方角にいる相手で、あなたにブラスとなってくれるのは、年上、目上、先輩といったような関係の人でしょう。
とうぜんこちらとしては、一目おいて向こうを立てなければならないわけですが、相手にしても、あなたの存在はプラスになってくるのですから、どんどん引き立ててくれます。あなたとしても、積極的にまず向こうのプラスとなるように努めてください。
それはとうぜん、近い将来、自分にはねかえってくるわけですし、いい意味でのギプ・アンド・テイクの関係が長くつづくことになります。
とくに、 この方位の相手とのつきあいでは、あなたが知恵を出し、向こうが力を出すという関係が多いでしょう。そのときは喜んで参謀役にまわってください。あなたにはいままで経験のなかった世界にも目が開け、将来のためにはたいへんな勉強になるでしょう。
七赤の星のある方角からあらわれる相手は、あなたの社交性を増すという慈味では、たいへん
なプラスになります。
遊ぴ相手といっては、ちょっとオーバーになりますが、かたいばかりが人生ではありません。人生の裏のさまざまな問俎にもよく通じ ていますし、人生相談的な問題で知恵を借りるなら、こっちの相手が妓普でしょう。
ここで、対人関係運において方位の使い方がまずかった一例をあげてみましょう。
私の知合いの一白生まれの男性ですが、もとはある会社の部長クラスで、貸家を二軒と自社株を八万株ほど持って、裕福な暮らしをしていました。
その株は増資増資でふくれ上がったのですが、だいたい三百円ぐらいの値段だったようですから、 当時の時価で二千数百万、家二軒をあわせると財産も四千万はかたかったでしょう。サラリーマンとしたら、人一倍めぐまれていたはずです。
家族も、きれいな奥さんと、男二人女一人のかわいい子どもがいたのですから、この点でも幸福だったはずですが、数年まえに家を改築し、暗剣殺の方角に二階を建てたのが運のつきでした。あとから聞いた話ですと、彼はその直後にある男と知合いになったというのです。電気工事の会社をいっしょにやろうとすすめられ、いままでの会社をやめて、新しく会社をつくったのが、五黄殺の方向だったといいますから、うまくいくはずはありません。
たちまち株券を全てすってしまい、家を抵当にして高利の金を借りたりして、動きがとれなくなってしまったのです。
あげくの果ては、詐欺のようなまねをはじめ、家にもいられなくなりました。
現在では、家族とも別れてしまい、どこに住んでいるのか、生死もわからないくらいですが、こうして凶方を一度おかすと、悪運が悪運を呼ぶという現象がつぎつぎに起こってくるのです。おそらく彼をだました男も、どこか凶方からあらわれたにちがいありません。もしも彼に方位学の知識があったなら、こういう非運は避けられたにちがいないのですが。
◎出典 「改定方位学入門」高木彬光著 カッパブックス及びブログ作者の収集データーによる◎