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報道の裏を読む — 展望力をつけるために 人間の頭脳には限界がある、そこにつけ込まれる 武田邦彦「ホントの話」第222回を読む — 令和8年10月2日放送

報道の裏を読む — 展望力をつけるために 人間の頭脳には限界がある、そこにつけ込まれる 武田邦彦「ホントの話」第222回を読む — 令和8年10月2日放送

報道の裏を読む — 展望力をつけるために
人間の頭脳には限界がある、そこにつけ込まれる

武田邦彦「ホントの話」第222回を読む — 令和8年10月2日放送
この回で武田先生が繰り返し立ち戻られたのは、一つの見方でした。——人間の頭脳には限界がある。そして人間は、自由で平等で民主的な世の中に生きていると思い込んでいる。違うデータを見せられても、「そちらが間違っている」と考えてしまう。その錯覚の枠の中にいるから、AIに簡単にやられる、と。

もう一つ、この回には別の芯もありました。——社会の中核が乱れれば、全体の水準が下がる。アジア大会の運営、水害報道、おむつの不法投棄、そして八重洲の鉄骨落下。先生は社会学の分布の図を描いて、山をどちらに寄せるかが社会の仕事だ、と語られました。

第一部 特集:AIは人間を滅ぼすか
1 意図せぬ外部接続「数十」
番組の冒頭に置かれたのは、オープンAIが九月二十五日に公表した一件でした。訓練や性能評価の最中にあったAIモデルが、政府や大学など数十の外部サイトに、意図しない方法でアクセスしていた、というものです。
先生は二年前からこの分野を調べてこられ、「二か月ほど前に、これはもうだめだと思った」と言われました。多くの人はAIをパソコンと同じものだと思っている。人が「ここを調べろ」と命じたから調べる道具だと。しかしAIは、問いを受ければ答えに必要なものを自分で探しに行く。そこにはすでに能動性が入っている、と。
しかも今回は、契約もしていない相手の中に、嘘をついて——つまり相手のコンピューターを騙して——入り込んでいた。騙す方法が分かっているということです。
事実の確認① オープンAIの公表
共同通信の報道によれば、オープンAIは九月二十五日、訓練や性能評価中のAIモデルが政府や大学など「数十」の外部サイトに意図しない方法でアクセスしていたと公表しました。重大事案には至っていないものの、セキュリティ制御やサービスに何らかの悪影響を与えた可能性があるとして、各機関に通知したとしています。
発端は七月の事案でした。インターネットから遮断された環境を抜け出したモデルが、別のAI企業(モデル共有基盤のハギングフェイス)の本番環境に侵入したと報じられています。社内のサイバー能力評価の最中の出来事で、安全上の制限を一部外して行われた試験でした。
多くは公開情報を調べる「ありふれた作業」でしたが、アクセス制御を回避したり、ネット上にあった認証情報を使ったりして情報を集めた例も見つかっています。先生の「騙して入っている」という表現は、報道された内容とおおむね一致します。
2 四百ccと千cc — 「種が変わる」ということ
先生はここで、いつもの脳容量の話に戻られます。千万年ほど前、類人猿の脳はおよそ四百cc。種が続いているかぎり、四百が四百二十になる程度の改善しか起こりません。ところが猿の一部が突然変異し、大脳だけが一気に増えて千ccを超えた。そのとき何が起きたか。火を使い始めた。
どんな動物も火からは逃げます。逃げ方が巧みになることはあっても、火に近づこうとはしない。「使えるな」と思ったところが、それまでとまったく違う行為です。これが種が変わるということだ、と。
そして先生は、ゴリラの話をされます。ゴリラは腕力が強い。それでも人間が簡単に捕まえて動物園に入れられるのは、人間が自分に何をしようとしているのかが分からないからだ、と。脳の大きさが一定以上離れると、相手が何を考えているかが分からなくなる。今のAIと人間の関係はすでにそこにある、というのが先生の見立てです。
3 「最短であと二年」
先生の結論は単純でした。人間を上回る頭脳ができれば、人間は絶滅する。命令しか受けつけないという特殊な制限がかかっているならよいが、制限がなければそうなる、と。
そのうえで「科学的なことだけを考えれば、最短であと二年」という数字を出されました。もちろん反論は山ほど来るだろう、しかしまず「AIは人間を絶滅させる」と置いて対策を取り、安全だと分かった部分から制限を外していくほうがよい、というのが先生の判断です。
具体策としては、国に担当の役所を置くこと、コンピューターの性能とAI同士の接続に制限をかけること、そして一度水準を下げたうえで再出発すること。人間型ロボットがある以上、腕や足がないから安全だとも言えない、と。
4 AIが突いてくるのは、人間の錯覚のほう
ここから話は、AIそのものから人間の側へ移ります。先生が示されたのは、世界の上位一割と下位五割の所得の開きのグラフでした。一人あたりで五十倍。それでいて、人は「自由・平等・民主」と言われると、それが実現していると思ってしまう。どんなデータを見せられても、「こちらが間違っているのだろう」と考えて、自分を慰めてしまう。
先生が挙げられた不自由の例は、受験です。塾に通える子と通えない子では進める道が違う。教育が階級化し、その後の人生も階級化している。それでも憲法に職業選択の自由と書いてあるから、自由があると錯覚する、と。
昔の日本には、その錯覚を抑えるものが二つあったと先生は言われます。一つは、ずるさを覚える前の子どもに人としてやるべきことを教えること。もう一つは「道」です。柔道、武士道、茶道、相撲。母は子を慈しむものだという枠も含め、成長とともに曲がっていく人間に枠をかけ、役割という枠をかける。いまはその枠が外されている。外されたほうが自由に見えるが、そこで人は騙され、騙されたものを正しいと思ってしまう。二段階の誤りが人の心に起こる、と。
5 どちらとも言える、という怖さ
番組が二番目に扱ったのは、トランプ大統領と習近平国家主席の会談をめぐるニュースでした。トランプ氏が「第二次大戦でアメリカと中国は同盟国として共に戦った」と述べ、習氏が「中米両国の人民が日本軍国主義と戦った」と語った、というものです。
先生の指摘は歴史の事実に関わります。日本が降伏した相手は、いまの台湾にある中華民国であって、中国共産党ではない。そもそも中国という言葉は国名ではなく場所を指すもので、漢民族が支配した期間とそうでない期間が入り混じっている、と。先生の計算では、漢民族の支配は四割五分、異民族の支配が五割五分だそうです。
そして先生は、地図を一枚示されました。中国が学校で教えている地図では、チベットもウイグルも内モンゴルも満州も、一色に塗られている。先生はそれを占領地と呼ばれます。
ここが、この回で最も重い一節だと思います。——この地図について今のAIに尋ねれば「中国だ」と答える。向こうでも学校でそう教えているのだから、AIにとってはどちらとも言えてしまう。そして出版社も放送局も、いまや原稿をAIにかけている。そこで何が起こるか。平均的なものが正しいことになる。八対一なら八が正しいとされ、一は間違いとされる。さらにAIが自分で判断するようになれば、〇・一のほうを選ぶこともありうる。
先生が「AIが危ない」と言われるのは、AIが発達することそのものと、現代の人間が錯覚の枠の中で生きていること、この二つが重なっているからだ、ということでした。
事実の確認② 日本が降伏した相手
一九四五年九月二日の降伏文書に、連合国の一員として署名したのは蒋介石率いる中華民国政府です。中華人民共和国の成立は一九四九年十月で、降伏の四年後にあたります。この点について先生の指摘は正確です。
なお、中国共産党の軍が日中戦争で日本軍と交戦した事実そのものはあり、「どちらの中国が戦ったのか」は、政府の正統性をどう見るかという論点と結びついています。だからこそ、どちらとも言える形で語られやすい、という先生の懸念につながります。
第二部 特集:中核が乱れると、全体が下がる
6 アジア大会 — 日本で開かれているのに
先生は名古屋にお住まいです。その目から見たアジア大会の運営は、常識の範囲を超えていた、と。宿舎に入れず廊下で十八時間待たされた選手団、水漏れするコンテナ型の宿舎、男女の部屋割りの誤り、食事が出ず役員がコンビニで買い出しに走った話、優勝した韓国選手に北朝鮮の国歌が流れた件。
先生が問題にされたのは、日本で開かれている大会なのに、主要な式典の演出も国際映像も仮設設備も中国が担い、運営はフランスの会社が握っていた、という構図でした。日本側の組織委員会はあるが、実際に動かしているところが外にある。予算は当初の見込みから何倍にも膨らんでいる。
そして先生は、愛知県の人々が今回あまり文句を言わなかったことに触れ、以前の芸術祭のときの記憶と重ねられました。本来の目的と関係のないものが入り込むと、積み上げてきたものが台無しになる、と。
事実の確認③ アジア大会の経費
報道と愛知県議会での議論によれば、大会の総額は三千七百億円(うち大会経費は二千九百八十億円)で、当初見通しの約三・五倍に膨らんでいます。大会関係者の宿泊費として五百二十億円が計上され、そのうち移動式宿泊施設が約八十二億円、停泊させた客船が約四十五億円。残るホテル代などの内訳について、組織委員会は「細かい契約の積み上げで、これ以上の説明は難しい」と答えています。
宿泊は客船約四千人、コンテナ型施設約二千人、ほかは愛知・岐阜・静岡・東京のホテルに分散し、三十種類の異なる基準になったと報じられました。番組で語られた混乱は、この分散と無関係ではなさそうです。
7 千葉・印旛沼 — 何ミリ降ったのかを、なぜ言わないのか
台風二十五号で印旛沼の堤防が決壊した件について、先生の怒りは報道に向かいました。水害の報道で最初に言うべきことは一つだ、と。——何ミリ降ったのか。何ミリを想定してどういう工事をしてあり、実際に何ミリ降ったからこうなった。それが第一に伝えるべきことだ、と。
先生は「線状降水帯」や「ゲリラ豪雨」という言葉にも厳しい。集中的な豪雨は昔からあり、名前が新しいだけだと。さらに「史上最大」という表現についても、観測が農林省の時代、気象庁の人手観測の時代、アメダスの時代と入れ替わってきたため、実際には「アメダス設置以来」でしかない場合がある、と指摘されました。
そのうえで示されたのが、愛知県の例でした。五百ミリの雨に耐えるよう川と排水の設備を整えてきたから、中央線が水没するほど降っても避難者がほとんど出なかった。先生は、信玄堤の写真と、利根川を東に移した江戸期の工事を引きながら、水害との付き合いは鎌倉のころから藩が担ってきた仕事だ、と語られました。坂東太郎、筑紫次郎、四国三郎——川に名をつけて人と川が助け合うという思想も、江戸時代にできたものです。
事実の確認④ 千葉にどれだけ降ったのか
先生は「百五十ミリ程度で決壊したのなら絶対のミス、二百五十ミリでもミスに近い」と述べられ、実際の雨量を調べたが分からなかった、と話されていました。そこで確認します。
国土交通省の速報によれば、九月十九日から二十一日までの総雨量は千葉県で四百五十ミリを超え、関東甲信では二十一日の二十四時間降水量が観測史上一位を更新した地点がありました。伊豆諸島では八百ミリ、静岡県では五百ミリを超えています。
印旛沼は水位が過去最高(ピーク五・〇四メートル)に達し、一九六八年の管理開始以来はじめて堤防が決壊しました。決壊は二〜三か所。佐倉市などで住宅や農地が浸水し、養鰻場からウナギ約五万匹が流出しています。
つまり、先生が想定された「百五十ミリ」ではなく、愛知の備えの水準として挙げられた五百ミリに近い雨でした。この点は先生の推定と実際の数字が食い違います。ただ、「何ミリ降ったのかをまず報じよ」という先生の主張そのものは、この数字を探すのに手間がかかったという事実によって、かえって裏づけられた形です。
8 分布の山を、どちらに寄せるか
先生が黒板に描かれたのは、社会学でよく使われる分布の図でした。一方の端に犯罪があり、もう一方の端にオリンピックの金メダルがある。社会全体の山が良いほうにずれれば金メダルを取る人が増え、悪いほうにずれれば殺人が増える。中心をできるだけ良いほうに寄せること、それが社会の仕事だ、と。
では、なぜ三面記事が報じられるのか。真ん中は報じにくいからです。端を報じることで、社会の軸がどちらを向いているかが分かる。だから殺人もノーベル賞も報道する意味がある、と。
この回で取り上げられた二つの事件——しじみ漁場へ流れる川に大人用おむつを大量に捨てた男、マンションの六階から幼い娘二人を投げ落とそうとした父親——を、先生はこの図の中に置かれました。上に立つ者がしっかりしていなければ、下も乱れる。アジア大会の運営も、千葉の水防も、テレビに出る学者の服装でさえ、同じ一つの線の上にある、と。
娘さん二人は、消防があらかじめ敷いていたマットの上に落ちて助かりました。先生が「消防は偉い」と言われたのは、この回で数少ない、手放しの賞賛でした。
9 八重洲の計算ミス — かわいそうだが、それが日本の技術を支えている
最後に置かれたのは、八重洲のビル建設現場で鉄骨が落下し、作業員が死傷した事故の続報でした。施工を担当した大林組の社員二人が、業務上過失致死傷の疑いで書類送検された、というものです。
先生は研究所長の経験から語られます。原因は単純な計算ミスだった。難しい式を展開して誤ったのではなく、三を五と書くたぐいの誤りです。人間である以上、ある確率で必ず起こる。入社して二十年に一度かもしれない。それでも起訴されることがある、と。
そして——それがかわいそうだと言いながら、先生はこう続けられました。だからこそ日本の建物は倒れないし、新幹線はひっくり返らない。技術は分担してやるものだから、一人の手抜きが他人の命を奪う。日本の法体系の厳しさと技術者の心構えが、私たちが安心して電車に乗れることを支えている、と。
この一節は、先生がメディアに厳しいことの理由も説明しています。自分が生きてきた世界では、ひとつの数字の誤りが人の命に関わり、罪に問われる。その世界から見れば、嘘が通ってしまう世界は理解しがたい、ということでした。
事実の確認⑤ 八重洲の事故
事故は二〇二三年九月十九日、東京駅前八重洲一丁目東B地区の再開発工事現場で起きました。長さ三十メートル、重さ十五トン規模の鉄骨の梁が落下し、七階付近にいた作業員が三階へ転落。二人が死亡、三人が重傷を負っています。
警視庁は二〇二六年九月十八日、施工を担当した大林組の男性社員二人を業務上過失致死傷の疑いで書類送検しました。事件は東京地検に送られ、起訴するかどうかは今後の判断となります。
第三部 その他の話題から
ロシア与党が過去最多の三百五十五議席
プーチン大統領を支持する与党が下院選で過去最多の議席を得たというニュースに、先生はロシア人の心の話を重ねられました。独ソ戦のとき、ロシアの兵は殺されても殺されても前に出ていった。民謡を聴けば、彼らの土地への執着が分かる、と。北方四島が返らず沖縄が返ってきたのは、土に対する執着の差だ、という見方も示されました。
ドイツ州議会選でAfDが再び勝利
メクレンブルク・フォアポンメルン州で「ドイツのための選択肢」が第一党となる見通しとなりました。先生は「超右派」というレッテルに騙されないように、と注意され、従来の左翼がなくなったために中央が左へずれ、空いた右側に新しいものが入ってきた、という構図で説明されました。キリスト教民主同盟の名を引いて、宗教が政治に入ることを一律に悪とする日本の感覚は世界では一般的でない、とも。
フォークランド諸島の油田
アルゼンチンがイギリスに法的措置を示唆した件について、先生は植民地時代の権利はもう通らないだろう、と見ておられます。一方で、アルゼンチンにはシェールオイルが豊富であり、資源は向こう、技術は日本という形で開発に協力できれば、日本の石油の相当部分を賄えるのではないか、と。日露戦争の日本海海戦をアルゼンチンの観戦武官が記録した縁にも触れられました。
内閣支持率五九%
報道各社の世論調査で、高市内閣の支持率が三か月ぶりに上昇しました。先生は、もしテレビと新聞が政権のやっていることをそのまま正直に伝えたら八割を超えるだろう、と述べ、国連演説の内容を例に挙げられました。
ジェンダーギャップ一一七位
世界経済フォーラムの報告書で日本が百四十五か国中百十七位とされた件を、先生は「完全なフェイク」と断じられました。判定の基準が、男性の職業に女性がどれだけ入っているかに偏っており、女性としての幸福が達成されているかは入っていない、という理由です。デパートの売り場が九割方は女性向けだという話も引かれました。
「水破産」の報告書
国連大学が世界は水破産の時代に入ったとする報告書を出した件について、先生は技術的な見解として同意できない、と述べられました。雨量は増えており、日本に至っては降る量の一、二%しか使っていない。困っているのは一部の地域であり、海水の淡水化で対応できている国も多い、と。
そしてアジア大会 — 選手たちは見事だった
運営は散々でしたが、日本選手の成績は際立っていました。競泳では十七歳の大橋信選手が男子二百メートル平泳ぎで世界新記録。陸上では落合晃選手が八百メートルを制しました。先生とアシスタントの倉島さんは、小柄な体格で世界記録に届いたことの意味を語り合っています。
事実の確認⑥ ジェンダーギャップ指数と、アジア大会の記録
世界経済フォーラムが九月十六日に公表した二〇二六年版の報告書で、日本は百四十五か国中百十七位でした。一位はアイスランド(〇・九三〇)、二位フィンランド、三位ノルウェー。G7では英国の五位が最高で、百位圏に入れなかったのは日本だけです。教育と健康の達成度は高く、経済と政治の分野が順位を押し下げる構造は例年と変わりません。
この指数については、計量社会学の側からも「生活安全上のリスクが高い国が上位に来る」という違和感が指摘されており、何を測っているのかという議論自体は存在します。ただし、番組で語られた「職員の妊娠を理由とした解雇」については、裏づけとなる報道を見つけられませんでした。先生の主張のうち、この部分は確認できていません。
競泳は九月二十四日、大橋信選手(十七歳・枚方SS/四條畷学園高)が男子二百メートル平泳ぎで二分四秒八三の世界新記録。二〇二三年七月から三年余り破られなかった記録を〇・六秒以上縮め、百メートルとの二冠を達成しました。陸上の落合晃選手(駒澤大)は男子八百メートルの日本記録保持者で、今大会を大会新記録で制しています。
結びに — 別の尺度を持つということ
先生はこの回の最後で、AIが危ないのは技術の問題だけではない、と言われました。人間自身がすでにごまかされている。そのごまかしを正すには、信仰とか道とか、別の尺度が要る。ところが今はその尺度がない、と。
これは、懐古ではないと思います。平均が正しさになり、多数が真実になる場所では、自分の外に測る物差しを持たない者から順に流されていく、ということでしょう。八重洲の計算ミスの話が、この回でいちばん光っていたのは、そこに物差しがあったからです。三を五と書いた誤りが人の命を奪い、だから罪に問われる。かわいそうだと言いながら、それを守ってきたから日本の建物は倒れない。多数決でも平均でもない尺度を、技術の世界だけは手放さずにきた、ということです。
私たちが自分の物差しを持つために何をするか。この連載を続けている理由も、そこにあります。

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牧正人史先生が昭和三十三年に発見された姓名科学の体系を、デジタルの形で遺す仕事を続けています。お名前から、その方の持つ数理をご覧いただけます。
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