◆ 「昔の日本」が幸せだった理由 ◆
かつての日本は「―億総中流社会」と呼ばれる「みんな同じ生活で良い」という考えが
主流でした。
しかし、いつしか「力が正義」という思想の影響を受け、会社は「年功序列」をやめて「能力主義」となり、「仕事ができれば若くとも偉い」という考え方が蔓延しています。
さて、人が幸福になるとはどういう状態でしょうか。
まずは、生きていけるだけの衣食住が整っていることで、これは時代によって違います。昔は、六軒ほどの長屋で、玄関がなく、障子をがらりと開ければ、そこにわらじを脱ぐ土間があり、土間を上がると6畳ほどの居間と小さな台所、それに小さい箪笥と卓獣台というところでしょうか。夜になると内職の道具を片づけて布団を敷き、そこで寝るという感じです。
もちろんテレビも洗濯機もないのですが、「普通の生活」がそうであれば、人はそれで十分に幸福です。大きな屋敷での生活もありましたが、それにはそれなりの苦労もあり、「豊かさ」は違いますが「人生の幸福度」はほとんど同じだったのです。
そして日本人は長く、「自分なりの人生を送ることができる」ことに幸福を感じていました。
日本には「職業分類」があっただけです。それが日本社会の基本構造になっていました。
つまり、生きる上で最も大切なことは、「資産の大きさ、職種、階級」などではなく、「自分に与えられた範囲で、仕事に邁進し、社会に貢献する」という「他人に支配されない人生」と考えたのです。
日本以外の多くの同は「支配層」をつくり、その層がその他の人々を統治するという骨組みをつくったのですが、日本だけは「支配層のいない社会」を形成します。
支配恩がいなければ、
① 自分に与えられた範囲で、
② 社会に貢献し、
③ 自分に合っている仕事や生活を選ぶことができる
ということになります。
日本では、米を作る人、味噌を作る人、家を建てる人、子どもを育てる人など、分業を前捉として、平和で生産性の高い社会をつくり上げてきたのです。
「多様性」のまやかし グローバリズムの危険性と持続性喪失の原理 武田邦彦 啓文社書房 令和6年刊より
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