◆ 危機感を煽るテレビ報道 ◆
現境問題を難しくしていているのは、そこに科学的な誤りが大量に入っているからです。近年、インターネット上での言論の乱れが問題視されていますが、むしろテレビや新聞など大手メディアよる誤報のほうが危険と言えるでしょう。
科学的な誤りが報道されてしまう背景には、テレビや新聞の記者が科学を理解していないということがあります。政府や専門家の矛盾を指摘できるような記者が、残念ながら日本にはいません。
それに加えて、視聴者や読者を脅せば儲かるという確信が彼らにはあります。「正しい報道をする」「侶念に従った報道をする」というのではなく、どのくらいの視聴率が取れるのか、どのくらいの販売数になるかということだけで判断しているのです。
コロナ禍における報道です。最近の例でいうと、当時、テレビのワイドショーでは連日「一日あたり最高の感染者数が出た」と危機感を煽っていました。そして、だんだん感染者数が落ち着いてくると、次は「〇曜日の最高の感染者数が出た」という報道に変わりました。
騒動後に、ある地上波テレビの元アナウンサーに当時の状況を聞いたところ、さすがに局内でも、「月曜日の最高の感染者数! 火曜日の最高の感染者数!……と報道することに意味があるのだろうか」という疑問が呈されたそうです。
ですが結局は、「視聴者を脅したほうが、視聴率が取れる」という声に押されて、曜日ごとの最高の患者数を報道していたというのです。
地球温暖化に関する報道倫理という意味では、私が旧来からNHKに訂正を求めている2つの映像があります。
ーつが、今から約20年前、南太平洋に位置する小さな島国ツバルの水没を示したものです。地球が温暖化して海水面が上がり、次々とツバルの島が水没していくという映像が繰り返し放送されました。
ツバルのようなサンゴ礁の島は、地盤が沈下したり、隆起したりしており、国土面積は安定していません。
り返し放送されました。
このときの映像で示されたように、住宅のあるところでも膝まで海水があるという状態は日常的に起こります。
それをあたかも温暖化により大きく地盤沈下したというように撮影し、放映したのです。
当時、私は名古屋大学の教授でしたが、大阪のある大学教授から「武田先生、私は島のこのような娯った内容が放送されて困っています。何度も、温暖化とは関係ないと言ったのですが聞いてもらえずでして‥‥ 」という相談もありました。
そしてもう一つは、ホッキョクグマの映像です。
子ども向けの歌番組で、「暑い、暑いなんとかしてよ、氷の国を返してよ」と氷のないところでシロクマが暑くて困っているという映像が流れていました。
北極洵の冬は全而結氷しますが、夏は溶けて半分は氷がなくなります。氷が半分残っている状態では、気温が0℃以上になることはありません。「暑い」という表現はまやかしです。
しかもこの映像は氷が見えない角度で撮っているので、子どもたちは蝙されてしまうのです。
これと同様の誤報が、今なお繰り返し行われています。私たちはマスコミが危機感を煽る目的で報道しているということをもっと自覚しなければなりません。
「多様性」のまやかし グローバリズムの危険性と持続性喪失の原理 武田邦彦 啓文社書房 令和6年刊より
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