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第40話 生産課の仕事

第40話 生産課の仕事

生産課の仕事は、数字から始まった。
本社の生産計画課から降りてくる月間台数。その数字が、すべての出発点だった。だが数字は、数字のままでは工場を動かせない。
台数が決まれば、人員が決まる。何人が何時間働くか。残業が必要か。交替勤務をどう組むか。台数という一つの数字が、何十という人員計画にぶら下がっていく。
部品計画も動く。ユニットの計画も動く。一つの数字の変化が、工場全体に波紋のように広がっていく。
そしてその人員計画は、組合との調整が必要だった。
私はその場面に、何度か立ち会った。数字を持って、組合側と向き合う。相手は一筋縄ではいかなかった。入社式の壇上に並んでいた景色が、ここで現実になった。
数字は冷たい。だが数字の裏には、人間がいた。
働く人数が変われば、誰かの生活が変わる。残業が増えれば家に帰れない人が出る。計画を変えれば、現場が動揺する。生産課とはそういう、数字と人間の境界線に立つ仕事だった。
入社してまだ日が浅い私が、その境界線の上に立っていた。

生産計画とは、工場を動かすための計画ではない。
売るために作る。その順番を間違えてはいけない。どれだけ精緻な計画を組んでも、売れなければ意味がない。作った車が工場の外に出て、誰かの手に渡って初めて、計画は完結する。
当たり前のことだった。だが当たり前のことが、巨大な組織の中では見えなくなることがある。
日産にも、そういう場面が散見された。計画を達成することが、いつの間にか目的になっていく。作ることと売ることの間に、静かにずれが生じていく。
若い私には、まだそのずれの意味が十分にはわからなかった。ただ、何かがおかしいという感覚だけが、時折頭をよぎった。
その感覚は、後になって、確信に変わっていく。
(つづく)R080418

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