連載3回 ## 第1回|チップから宇宙へ――マスクが描く「文明のインフラ」

テラファブ、という言葉を初めて聞いたとき、私はしばらくその語感をくちの中で転がしていた。テラ(兆)とファブ(半導体工場)。文字通りには「兆規模の製造拠点」だが、イーロン・マスクがこの名を冠したプロジェクトは、工場という言葉の収まりをはるかに超えている。
マスクはこう言い切った。「新しい物理法則は必要ない。実現不可能な技術は何もない。必要なのはやりきる意思だけだ」。
その宣言の中身はこうだ。テスラ・SpaceX・xAIの三社が連携し、テキサス州オースティンに世界初の「垂直統合型半導体工場」を建設する。そこで製造されたチップを宇宙空間に打ち上げ、太陽光発電衛星で動かす宇宙AIデータセンターを構築する。最終目標は、現在の地球全体のAI計算能力の約50倍にあたる「1テラワット(TW)」の計算能力を宇宙に持つことだ。
荒唐無稽に聞こえるかもしれない。しかし話の出発点は、驚くほど論理的である。
マスクがよく引用するのが「カルダシェフ・スケール」という概念だ。1960年代にソ連の天文学者ニコライ・カルダシェフが提唱した理論で、文明の発展段階をエネルギー利用能力で三段階に分類する。タイプ1は惑星全体のエネルギーを使いこなす文明、タイプ2は恒星のエネルギーを活用する文明、タイプ3は銀河全体を舞台にする文明だ。
そして今の人類は、タイプ1にもまだ届いていない。
地球の電力生産量は太陽エネルギーのごく一部に過ぎない。マスクの言葉を借りれば、「文明の電力出力を百万倍に増やしても、まだ太陽エネルギーの一万分の一にしかならない」。これは絶望的な数字ではなく、成長の余白の大きさを示している。そして宇宙空間では、大気による減衰も夜も季節もなく、地球上の5倍以上の太陽光を利用できる。
だから宇宙に行くしかない、というのがマスクの論理だ。AIを進化させるには計算能力が要る。計算能力には電力が要る。地球上の電力には限界がある。だから宇宙で発電し、宇宙で計算する。単純だが、反論しにくい。
テラファブの最大の特徴は「垂直統合」にある。通常の半導体製造は、設計・フォトマスク製造・製造・テストが別々の会社・別々の国で分業される。設計変更からテストまでに数ヶ月かかることも珍しくない。テラファブはこれを一棟の建物の中に全部詰め込む。設計を変えたその日にマスクを作り直し、翌日には新しいチップをテストに回す。マスクはこれを「最短改善ループ」と呼ぶ。
現在、地球上の全ての半導体工場を合計しても、このプロジェクトが必要とするチップの約2%しか供給できないという。サムスンやTSMCに対してマスクは「作ったチップは全部買う」とまで伝えたが、既存メーカーの拡張速度では間に合わない。だから自分たちで作る。このパターンはテスラでもSpaceXでも繰り返されてきた。電気自動車は売れないと言われた。再使用可能なロケットは不可能と言われた。そのたびに彼は「やりきる意思」で乗り越えてきた。
私はこのプロジェクトを聞いたとき、規模の大きさよりも発想の質に驚いた。制約を最適化するのではなく、制約そのものをなくしてしまう。これは「ファースト・プリンシプル思考」と呼ばれる思考法で、既存の前提を疑い、物理法則の根本から問い直す。ロケットが高いのは材料費が高いからではなく、作り方が悪いからだ、と。半導体が足りないのは工場が少ないからではなく、製造の仕組みごと変えていないからだ、と。
テキサスに打ち込まれた最初の杭が、やがて宇宙へとつながっていく。
その話の続きは次回に。
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