まえがき:欧米よりも日本が優れている理由 武田邦彦
1. 「力の序列」ではない日本独自の平等と文明の根源
一般的に「偉い」とされるようなこと、たとえば「頭がいい」「足が速い」「力が強い」「事業で成功した」「名のある賞を獲った」などといったことに、筆者は素直に拍手を送ります。しかし、そうしたことが果たして「人として本当に素晴らしいこと」でしょうか。 社会のトップに立った政治家、あるいは社会に貢献した実業家など、そういった人々が(一律に)偉いというわけでは決してない、と筆者は考えています。 能力や実力を含めた「力の序列」ではない、一人ひとりに備わった「偉さ」というものがあるのです。これこそが本当の「平等」という考え方です。 もちろん日本社会の中にも序列はありますが、日本人は「お母さんがいちばん偉い」という伝統の中で生きてきました。これがいわゆる「西洋文明」と決定的に違うところです。 古来、日本の神様の頂点は天照大神(あまてらすおおみかみ)という女神です。令和の御世で126代を数える天皇の祖神です。そして、『古事記』や『日本書紀』に描かれた高天原(たかまのはら)という神々の暮らす世界に、軍隊はありませんでした。 日本が、力によるものではない序列を基本とし、一人ひとりの「かけがえのなさ」を大切にして皆で守ってきた“文明”であるということは、こうした事実一つをとっても証明できます。
『かけがえのない国 誇り高き日本文明』武田邦彦著 MdN出版(R05年)より R080308
