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正義は商売の数だけある

どんな商売でもそうですが、在庫がたっぷりあっても、「残り少ないですから」と言うのは普通のことです。むしろそんなことを信じるほうがおかしいという感覚です。現に、いま「シェールガス」「シェールオイル」という化石燃料が注目されていますが、これは、地下深いところに広く存在する「本体の石油やガス」のことです。地下3000メートルぐらいのところの岩石の間にあるオイルやガスなので、いままで技術的に取り出すことが不可能だったり、故意に商売上の理由で掘らなかったりした分です。それが、石油の値段が1バレル100ドルを超えて安定してきたので(日本でいえばガソリン価格が1リットル150円ぐらいで安定してきたので)、掘り出したのです。技術的にもそれが可能になりました。
2000年頃からアメリカの中堅会社を中心に採掘が始まり、2005年頃より本格化。リーマンショックで石油の価格が高止まりしたのを見て、2009年から大量生産を始めました。そして瞬く間に、世界のエネルギー市場に大きな影響を与える存在になったのです。
実際、アメリカは、このシェール ガス革命により、それまで天然ガス輸入国だったのが、輸出国に転じました。

データソース https://www.eia.gov/energyexplained/natural-gas/where-our-natural-gas-comes-from.php

推定埋蔵の推移です。最新データでも、確認された油田などから、埋蔵量増加しています。(ブログ作者注)

データソース*https://www.bp.com/content/dam/bp/business-sites/en/global/corporate/pdfs/energy-economics/statistical-review/bp-stats-review-2020-full-report.pdf

石油輸出国機構(OPEC)もはっきりと、「これ(シェール ガス)によって石油の需要は低下する」(2012年11月8日ロイター)と言っています。枯渇するはずだった地下資源が、21世紀以降、むしろ増えているのです。「石油がなくなる」と言って相場を維持してきた石油関係者ですら、「あと500年もつ」と言っているほどなのですから。
資源専門の学者でも、「石油はあと40年」という言説に騙されている人が多くいます。特に日本人に多いようです。
人間社会の中の「正義」は、「その人の立場から見た正義」で、決して、これまでに整理した「絶対的な正義」はありません。「正義は人の数ほどある」とか「正義は商売の数だけある 」という種類の正義です。夜店で怪しげな物を買おうとすると、「旦那、これが最後ですから、買い物ですよ」と誘います。「もう少し安くならないのか?」と値段交渉をすると、「もう、これが最後なんで、勘弁してくださいよ」と言います。買い手も売り手の言っていることを信じているわけではないのですが、売り手が「たくさんありますけれど、それは言いません」などと正直に言うはずもないことはわかっているのです。それでも怒らないのは、「商売には商売の正義があり、売り手には売り手の正義がある」ということを認めているからです。
売り手の正義とは、こういうことです。事実を隠してもよい。できるだけ多く、高く売れればよい。製品の性能をごまかしたり、危険なものを売ったりするのは問題だが、2倍ぐらいまでなら、値段は高く売っても正義には反しない。石油会社(メジャーと呼ぶことが多いのですが)が「石油はそれほど多くはない」というのは当然です。工業製品ではなく、天然資源ですから、相場モノなのです。たっぷりあれば安くなり、少なければ取り合いになるので高くなります。
世界で日本人ほど「石油会社(売り手)の正義」を認めずに、「自分(買い手)の正義」相手の言動を判断する国はありません。これは日本が歴史的に孤立していて、日本の中で「ひとつの正義」がまかり通っていたからと考えられます。
『「正しい」とは何か?』武田邦彦著 小学館より

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